今日は朝こそ涼しかったものの、日中はなかなかの暑さに見舞われました。それでも湿度が低かった分、不快指数が低かったのが幸いでした。
ところで、今日9月12日はラモーの祥月命日です。
ジャン=フィリップ・ラモー(1683〜1764)は、バロック時代のフランスの作曲家で、音楽理論家としても活躍していた人物です。
父親がディジョン大聖堂のオルガニストだったこともあって、ラモーは幼児期からクラヴサン(チェンバロ)演奏に親しんでいた可能性があると考えられています。しかし、ラモー元々は法学を学んでいて、はじめ音楽と音楽研究は情熱の対象にすぎなかったようです。
青年時代をイタリアやパリで過ごしたラモーは、父親の跡を継いでクレルモン大聖堂の教会オルガニストに就任しました。その後パリ、ディジョン、リヨンなどでもオルガニストを務め、1723年からパリに定住して、時の財務官アレクサンドル・ド・ラ・ププリニエールの後援を得ることとなりました。
作曲の分野において名声を勝ち得るようになるのは、ラモーが40代になってからでした。それでも、1733年にフランソワ・クープラン(1668〜1733)が他界するまでには当時のフランス楽壇の指導的作曲家になっていきました。
その頃からラモーは専らオペラの作曲に没頭するようになり、先輩作曲家であるジャン=バティスト・リュリ(1632〜1687)に取って代わり、フランスの哲学者、文学者、歴史家であるヴォルテール(本名フランソワ=マリー・アルエ、1694〜1778)と数々のオペラを共作しました。とりわけ《ナヴァールの姫君》の発表によって、ラモーは『フランス王室作曲家』の称号を獲得することとなりました。
またラモーは、『根音』や『転回形』といった概念を使って、『機能和声法』や『調性』といった現在の和声学につながる理論を体系的に理論化した最初の音楽理論家としても有名です。今日使われている『ハーモニー』という言葉を和音や和声の意味で用いる習慣は、実はラモーに遡るものです。
さて、そんなラモーの祥月命日である今日は《ガヴォットニ長調》を取り上げてみようと思います。曲名だけ聞いても殆どの方はご存知ないかと思いますが、この作品は鈴木バイオリン教本の第6巻に収録されているので、ヴァイオリンのレッスンをされている方にとっては馴染み深いものではないかと思います。
この曲は、元々はラモーの《Le tempre de la gloiore(栄光の寺院)》というオペラ・バレの中の一曲です。装飾音符を伴う華麗な音楽は、いかにもルイ王朝華やかなりし時代のものということができます。
そんなわけで、ラモーの祥月命日である今日はその《ガヴォットニ長調》をお聴きいただきたいと思います。ジャニーヌ・アンドラードのヴァイオリンで、ヴァイオリンレッスン生にはお馴染みの愛らしい小品をお楽しみください。