今日はいいお天気となり、予報通りに暑くなりました。昼間はエアコンを点けていないと、家の中でもボ〜…っとしてしまいます。
ところで、今日6月19日はワルツ《ウィーンの森の物語》が初演された日です。
《ウィーンの森の物語》は、
ヨハン・シュトラウス2世(1825〜1899)が1868年に作曲した演奏会用のウィンナ・ワルツです。シュトラウス2世の「十大ワルツ」のひとつとされ、特にその中でも《美しく青きドナウ》《皇帝円舞曲》と共に『シュトラウス2世三大ワルツ』に数えられる、非常に人気の高い作品です。
この曲は1868年6月の初頭にわずか一週間で書き上げたものといわれる作品で、1868年6月19日にウィーンの舞踏場『新世界』において初演されました。発表されるとたちまち大好評を博し、時のオーストリア=ハンガリー皇帝フランツ・ヨーゼフ1世もこのワルツを称賛しました。
このワルツは題名の通り、ウィーンっ子の憩いの場であった美しい緑地帯『ウィーンの森』を描写した作品です。しかし、実は当のシュトラウス2世はアウトドアが大の苦手で、自然の中に出かけていくことに対して尋常ならざる恐怖を抱いていた…といいますが、そんな彼が何故にこのワルツを作曲しようと思い至ったのか、その理由は明らかではありません。
このワルツ最大の特徴といえば、何と言っても
序奏と後奏にツィターが登場することです。ツィターは南ドイツからオーストリアにわたる地域の民族楽器で、シュトラウス2世は帝都ウィーンと周辺地域の融合を表現するために、この楽器を使用したといわれています。
《ウィーンの森の物語》は現在でもウィーンフィルハーモニーのニューイヤーコンサートを始めとした様々な演奏会のプログラムで採り上げられ、その美しいメロディと優雅なワルツのリズムで人気を博しています。ツィターが無い場合には弦楽器トップ奏者たちによるアンサンブルでも演奏できるように楽譜に書かれてありますが、それでもツィターの音色の入ったものを聴くと、やはりこの曲の雰囲気を作り出すにはツィターという楽器が大きく貢献しているなということを感じます。
そんなわけで、今日はその《ウィーンの森の物語》を、
ウィーンフィルのコンサートマスターを務めながら指揮者としても活躍したウィリー・ボスコフスキー(1909〜1991)の指揮によるウィーンフィルと
映画『第三の男』のメインテーマ演奏で有名なオーストリアのツィター奏者、作曲家のアントン・カラス(1906〜1985年)との共演でお聴きいただきたいと思います。ウィーンフィルを愛し続けたボスコフスキーの指揮と、アントン・カラスの小粋なツィターの音色をお楽しみください。