じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

吉田修一著「パーク・ライフ」を読む

2017-09-12 20:46:06 | Weblog
☆ とにかく文章がうまいので、吉田修一さんの世界に引き込まれていく。

☆ ありふれた日常の一コマだが、主人公の感覚を通した宇宙観のようなものを感じる。

☆ 内の世界と外の世界が心地よく出入りする。


☆ 物語は立ち往生する地下鉄の中から始まる。主人公はそこである女性と出会い、「公園」で再会する。

☆ 名前も知らない、職業も知らない。聞きたいけれど聞かない。何かしら不思議な関係。それでいて変に安定感がある。


☆ 私が好きなのは、主人公が「公園」で夢想するシーン。学生の頃、一人旅で訪れたニューヨークのスターバックス、16歳の春、好きだった同級生にした秘密のキス。

☆ 頼まれて世話をしているラガーフェルド、レオナルド・ダ・ヴィンチの人体解剖図、気球を飛ばすおじいさん・・・材料はいろいろ散りばめられているが、分析はやめて作品に酔うのがよさそうだ。


☆ 終盤、女性が発した「よし。・・・私ね、決めた」のセリフが響く。何を決めたのかわからないのだが、何かを決めたのだ。

☆ もう40年近く前だろうか、群像新人賞受賞ということで村上春樹氏の「風の歌を聴け」を読んだ。この作品を読んで、その時のような感覚を感じた。
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「まだバスは走り続けている」

2017-09-12 12:19:43 | Weblog
☆ 冲方丁さんの「もらい泣き」から「ミスター・サイボーグのコントローラー」「旅人たちのバス」を読んだ。どちらも胸にジーンとくる話だった。

☆ 「まだバスは走る続けている」。これは「旅人たちのバス」に書かれている一文。何回も反芻してしまう言葉だ。

☆ 大学院の論文のテーマにジミー・ヘンドリクスを取り上げた女性が渡米し、彼のドラマーたちのツアーに同行するという話。

☆ 短い作品なので詳しくは書かないが、よかった。

☆ 人生、終わるまでバスは走り続けている。自分の席を見つけたいものだ。
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テレビからネットへ

2017-09-12 02:09:36 | Weblog
☆ NHKスペシャル「新・映像の世紀」第6集を見た。

☆ テレビからネットに映像環境が移り変わっている。「アラブの春」などネットが変える世界の様子などを伝えていた。

☆ まず冒頭は2001年9月11日のアメリカ同時多発テロの映像から始まる。

☆ そういえば今日も9月11日。崩れ行くワールドトレードセンタービル。あれから16年がたったんだね。

☆ 授業を終えてふとテレビを見たら、「ニュースステーション」が通常放送を中断してCNNのライブ映像を流していた。すでにビルは炎上していた。最初は小型機が事故でビルに激突したのかと思った。見ているともう一機、急旋回でビルに突入した。アメリカが攻撃されている姿だった。犠牲者は3000人と言われている。

☆ このテロで支持率を大きく回復したブッシュ大統領は、アフガンそしてイラクへの報復を始める。

☆ 「アラブの春」はチュニジアの一人の青年の焼身自殺から始まった。北アフリカの独裁政権がドミノ倒しのように倒れていく。西欧メディアはこの民主化の波を賞賛したが、勝利の興奮は束の間、すさまじい主導権争いが起こり、内戦にまで発展する国もあった。革命後の混乱、反動はフランス革命と変わらない。ただ、ナポレオンは今のところ現れていない。

☆ スマトラ島沖で大地震が起こり津波が海岸そして街を襲った。その時、それはまだ遠い国の出来事だった。誰が東日本大震災を想像できようか。

☆ 毎日どこかで事件、災害、事故が起こり、私たちはその映像を見ることができる。番組内で繰り返し語られた言葉、「映像は時に世界を引き裂き、時に世界をつなぐ」

☆ すごい時代になってきた。

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