★ 昔、「ウルトラQ」のエピソードに「あけてくれ」というのがあった。仕事と生活に疲れたサラリーマン、彼の乗った電車が時空を超えた旅に出るという話だった。
★ また、人間は死の間際に自分が歩んだ生き様を走馬灯のように見るともいう。
★ 今日は、重松清さんの「流星ワゴン」(講談社文庫)を読み終えた。一言でいえば父と息子の物語。
★ 主人公の男性は人生に行き詰っていた。息子は中学受験に失敗し、仕方なく通うことになった公立中にはなじめず不登校に。妻はどうやら見知らぬ男と不倫を重ねているようだ。そして男性はリストラされ、失業の身に。
★ 男が、終電が終わった駅前のベンチで、ウイスキー瓶を片手に「もう死んでもいい」とぼんやりしていると彼の前に一台のワゴン車が止まった。助手席から男の子が笑顔で「乗ってよ」と誘う。
★ ワゴン車に乗っているのは少年とその父親らしい。男はこのワゴン車に乗って、今までの人生を振り返る。どこで道を間違ったのか。どうすれば良かったのか。男は、現実と仮想の世界を行き来しながら考える。
★ 途中で、男の父親(なぜか今の男と同じ38歳)も乗車し、物語が膨らんでいく。
★ 果たして人生はやり直せるのだろうか。
★ 幸福な毎日を送ってきたのに、振り返ってみると不幸になっている、というのが印象的だった。