★ 11月も中旬だというのに温かい。洗濯物がよく乾くのでありがたいが。
★ 高校生は公募制推薦の受験が始まる。最近の大学入試は夏休み明けの「AO(総合選抜型)入試」「指定校推薦」、11月から12月の「公募制推薦」、1月の共通テストを経て、2月から3月は一般入試と続く。実に長丁場だ。早く進路を決めたい高校生が増え、「指定校推薦」や「公募制推薦」に人気が集まる。
★ かつての京都などは(もう50年ほど前だが)高校三原則で、「高校は大学入試の予備校ではない」などと澄ましていたが、そんなことを言っているから「一浪」と書いて「人並」と呼ばす現状に甘んじていた。おかげで学生の街・京都は予備校が大盛況だった。(そんな京都の高校教育もすっかり変わったが)
★ 今や少子化の時代。現役合格は当たり前。善かれ悪しかれ、進路も多様化している。
★ そんな現状を思いながら、今日は庄司薫さんの「赤頭巾ちゃん気をつけて」(中公文庫)を読み終えた。第61回(1969年)芥川賞受賞作。
★ 主人公は当時東大一直線の日比谷高校3年生の「薫くん」。ところがその年、学園紛争の影響で、東京大学の入学試験が中止された。前年、東大合格者数で日比谷高校は灘高に首位の座を奪われた。東京では学校群制度が導入され、日比谷高校も変わりつつあった。
★ 東大入試が中止になったことを主人公はあまり気にかけていない。周りは「京大に行くのか」「一橋にするのか」「東工大にするのか」それとも「一浪するのか」と騒がしいが。
★ そんなことより、薫くんは左足親指の生爪をはがしてしまい、幼なじみの女の子との関係も微妙になり、年上の女性医師の魅力に胸をときめかせ、日々を送っている。
★ 独白調の文体が特徴的だ。薫くんは何かと饒舌な近所の奥さんが苦手だが、彼もまたなかなか饒舌だ。
★ 村上龍さんの「69」のような高校生もいれば、薫くんのような高校生もいる。「ブルーライトヨコハマ」が流行り、ピンキーとキラーズが人気だった時代。面白い時代だ。