★ 中学校の期末テストが迫ってきた。日頃勉強しない子たちも押し寄せてくる。対策問題をつくるのに追われる。
★ とはいえ、合間を縫って、見延典子さんの「もう頬づえをつかない」(講談社)を読み終えた。1978年発表の作品。文芸誌の新人賞ではなく、大学の卒業論文(?)として書かれたのが異色だ。それでいて俗な新人賞作品よりも面白かった。
★ 主人公は大学生の女性。バイトで家賃を払い、何とか食いつないでいる苦学生だ。彼女には風来坊のような彼氏がいて同棲していたが、ふと出ていった切り1年間も音信がなかった。その間、彼女には新しい男ができていた。
★ 前の風来坊とは違って、清潔好きで小まめな男。彼女のことを大切にしてくれそうなのだが、彼女はあの風来坊を忘れることができない。そんな時、その風来坊が1年ぶりに帰ってきて、三角関係になってしまった。その上、彼女は妊娠をしてしまう。どうやら風来坊の子らしい。彼女が下した決断は。
★ ダメ男とわかっていても、ダメ男であるがゆえに尽くしてしまう。この女心はどういうことなのか。母性と言えばそれまでなのだが。追えば逃げていき、突き放すと甘えてくる。酒に酔っては言いがかりをつける。どうに厄介な男だ。
★ この作品は映画化され、主演の桃井かおりさんと奥田瑛二さんが印象に残っている。風来坊のダメ男役は森本レオさんだった。