★ 今日は一日中鬱陶しい天気。
★ 平中悠一さんの「She's Rain」(河出書房新社)を読んだ。1984年度「文藝賞」受賞作。
★ 私は1987年3月24日に1度読み終えたとメモしてある。「久々に快い小説だった。テーマはいたって簡潔。文章も飛ぶように流れていく。ただそうした中で、純粋な想いがまぶしいほどに輝いている。17歳だからもてる感覚。17歳だから放てる輝き。それは私のとっては青春への郷愁かも知れない。大上段に構えて恋愛を論じるのでもなく、素直に自分の気持ちに忠実に書いていることが魅力的だ。現代の“私小説”はこういう形になるのであろうか」
★ なかなか絶賛している。それからおよそ40年。今読むと何かつまらなかった。ある短い期間の出来事をスケッチのように描いているのは、村上春樹さんの「風の歌を聴け」のようだ。カタカナが多いのは、田中康夫さんの「なんとなく、クリスタル」のようだ。こうした傾向は、80年代の特徴なのだろうか。
★ ピュアな青春が胸に刺さらなくなったのは、私が年をとったせいだろうね。