★ 久しぶりの大雨警報。一気に季節が進むのだろうか。
★ 今週も中学3年生の土日特訓。授業の合間に島田雅彦さんの「優しいサヨクのための嬉遊曲」(福武文庫)を読んだ。福武文庫というのが懐かしい。作品が発表されたのが「海燕」だという。そんな文芸誌もあったなぁ。
★ さて、冷戦、イデオロギー対立の中で、60年代から70年前半まで吹き荒れた学園紛争。80年代になるとそうした動きも下火になり、かつての「左翼」も「サヨク」へとずいぶんとナヨってしまった。(「ナヨる」なんて今では使わないか)
★ そんな80年代、大学では細々と「サヨク」運動が行われていた。といっても、もはや学生たちは食うや食わずの極貧ではなく、いわゆる中流出身の子どもたち。切羽詰まった「革命」運動ではなく、楽しく学生生活を送るためのサークル活動という感じ。
★ 彼らはそれなりに「運動」をしながら、恋愛にカネ稼ぎにと励んでいる。政治ももはやファッション化する時代。「運動」も恋愛も「まあいいか」とぬるま湯的に納得してしまうのがというのが印象的だった。
★ 世の中が豊かになり、「やさしい世代」の学園生活が描かれていた。作者の島田さんは1961年生まれ。私とほぼ同世代なので、時代の雰囲気がよく伝わってきた。
★ 「ジャパン・アズ・ナンバーワン」といわれていた時代。戦後日本の頂点の時期だったのかもしれない。