★ 中学校の期末テストが終わる。次は高校の期末テストと冬期講座の準備。塾業界の年末年始は修羅場と化す(笑)。
★ さて今日は、村上龍さんの「限りなく透明に近いブルー」(講談社文庫)を読み終えた。この作品も文庫が発行された1979年から80年ごろに1度読んでいるから2度目になる。
★ 第19回群像新人文学賞(1976年)及び第75回芥川賞受賞作。とにかく衝撃的なデビューだった。
★ 全編、特に前半の麻薬、乱交、暴力シーンは凄まじい。文章がうまいだけに映像がリアルに浮かんでくる。
★ 主人公のリュウは米軍基地のある町に住んでいる。若者たちが集まって開かれるパーティー。麻薬の煙、錠剤、注射で酩酊した彼らは男女入り乱れて性交に浸る。
★ やがて仲間たちはそれぞれの道を進み、リュウは薬のせいで精神を病んでいるようだ。
★ どうしようもない閉塞感。何かから逃避するような刹那感が漂う。
★ 少し前の時代には破壊すべき旧体制があった。うやむやの内に体制は維持され、暴力的ないらだちが内向しているかのようだ。
★ ポケットの中で砕けたガラス片。それは夜明けの空気に染まり、限りなく透明に近いブルーとなる。リュウはこのガラス片のように「限りなく透明に近いブルーになりたい」と思う。
★ 彼を残して時代は流れているようで寂しいエンディングだった。彼はこれからどのように生きていくのだろうか。