★ 村上春樹さんの「風の歌を聴け」(講談社)を久しぶりに読んだ。1979年7月25日発行の初版。読書などそれほど好きではなかった私がなぜこの本を読み始めたのかは思い出せない。ただ、この本に衝撃を受け、新人賞の類を読むようになった。
★ 「物語は1970年8月8日に始まり、18日後、つまり同じ年の8月26日に終る」
★ 主人公の男性は東京の大学に通っているが、夏休みで山と海に挟まれた町に帰省している。小さい町だが住んでいる人は結構裕福そうだ。彼は友人の「鼠」と馴染みの「ジェイズ・バー」でビールを飲んで時間をつぶしている。
★ わずか18日の間だが、ある女性と出会い、「鼠」の相談に乗り、それぞれ軽口を言い合いながらなかなか哲学的な対話をしている。
★ この作品を初めて読んだ時、今までの小説とは違う感じを受けた。テンポの良い会話。かみ合っているようでズレているようで、それでいてその場の雰囲気が伝わってくる。作品のテーマが文体で表現されているようだった。
★ 「何かを持っているやつはいつか失くすんじゃないかとビクついているし、何も持っていないやつは永遠に何も持てないんじゃないかと心配している。みんな同じさ」(150頁)
★ 「あらゆるものは通りすぎる。誰にもそれを捉えることはできない。僕たちはそんな風にして生きている」(190頁)
★ 学園紛争真っ只中。主人公たちもその影響を受けている。ただ闘志となって「革命」に走るわけではなく、静かな諦観で世の中の移り変わりを見ている。
★ 混迷の時代にもいろいりな生き方があったんだなぁと思った。
☆ アメリカの大統領選はトランプ氏の返り咲きに終わりそうだ。これからの4年間、世界はどのように動いていくのだろう。日本への影響も少なからずありそうだ。安倍政治再びで、「高市政権」ができるかも。