じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

「霞町物語」

2017-09-27 11:47:00 | Weblog
☆ 浅田次郎さんの「霞町物語」(講談社文庫)から表題作を読んだ。

☆ とてもオシャレな物語だった。

☆ 高校生から大学生へ、主人公は一人の女性と出会った。

☆ 移り行く東京の風景。時代の流れとちょっとした郷愁を感じる物語だった。

☆ 最後のシーンは、オーティス・レディングの「ドック・オブ・ザ・ベイ」を聴きながらが心地いい。
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ポピュリズム

2017-09-26 22:29:57 | Weblog
☆ マルクスは「経済学批判」の中で下部ー上部構造論を唱えた、今、資本主義という下部構造が転換期を迎え、それに伴ってポピュリズムという政治現象が起こっているのかも知れない。

☆ 水島治郎著「ポピュリズムとはなにか」(中公新書)を読んだ。

☆ 本書は、ポピュリズムの起源、その特徴、現代のポピュリズムの台頭について説明している。

☆ 私が面白かったのは、第3章「抑圧の論理 - ヨーロッパ極右政党の変貌」だ。この章では、まず現代ヨーロッパでポピュリズムが台頭してきた背景を分析している。背景の第1は、冷戦の終結により、「既成政党間の求心力が弱まり、政党間の政策距離が狭まったこと」(61頁)。第2は、「政党を含む既成の組織・団体の弱体化と『無党派層』の増大」(63頁)、第3は、グローバル化に伴う「格差の拡大」である。

☆ また現代ヨーロッパのポピュリズムの特徴として、第1に、マスメディアを駆使して無党派層に直接訴える政治手法(68頁)、第2に、国民投票や住民投票などの「直接民主主義」の主張(69頁)、第3に、福祉の対象を自国民に限定し、負担となる移民の排斥という「福祉排外主義」の主張である(70頁)。

☆ 第6章の「イギリスのEU離脱」も面白かった。離脱を推進したのが、既成政党の政策によって恩恵を受けられなかった中年の底辺層の白人労働者といった「置き去りにされた」人々であったこと。「チャブ」(労働者層出身の粗野な若者層を侮蔑した表現)という言葉も知った。根底にあるのは格差の拡大だ。

☆ 第7章は、「グローバル化するポピュリズム」としてアメリカ大統領にトランプ氏が選ばれた背景を分析している。


☆ 私たちは世界史的な転換点に生きているのかも知れない。資本主義が終わろうとしている。少数の富裕層と多数の貧困層。既成政党が貧困層(多くが中流層の没落者)のニーズをくみ上げられなくなったとき、彼らの声を吸い上げるポピュリズム政党が台頭してきた。

☆ 本来なら左翼を支持しそうな人々がむしろ右翼を支持している。左翼のインテリぶったところが嫌なのだろうか。ヨーロッパの場合、左翼も政権を担ったが思うような成果が上げられなかった失望感があるのかも知れない。

☆ 日本では橋下さんが維新を立ち上げ、大阪の改革に乗り出した。東京では小池さんの「都民ファーストの会」が躍進した。既得権益のリセットが叫ばれ、自民党も民主党(民進党)も、どちらも敗れた。

☆ 民進党の弱体化は労働組合の弱体化の表れだ。労働者は今日、正規雇用と非正規雇用で分断されている。非正規雇用や日雇い労働者を労働組合は助けただろうか。

☆ 自民党も民主党も政権を握ったが、それは小選挙区ゆえの結果だ。敵失の結果だ。どちらが政権をとっても上げ足取りとスキャンダルばかりで、希望は行き渡るどころか、不安と閉塞感は募るばかりだ。日本の場合、移民問題が大きくないのは不幸中の幸いだが、いったん朝鮮半島で有事があれば、難民問題と直面することになる。

☆ 私たちはどこに向かって歩いているのだろうか。
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小池劇場

2017-09-26 10:05:45 | Weblog
☆ 今朝の各紙はやる気満々。政変は記者の血を躍らせるようだ。何かが起こりそうだ。

☆ どうやら安倍さんは虎の尾を踏んでしまったようだ。

☆ 首相の「解散」記者会見に合わせて、新党の発足を発表。首相の消費税使途変更に対抗して。消費税凍結。

☆ 打つ手がすべて当たっている。スピード感もいい。まるで天命が降下したようだ。

☆ 結局、どのような国づくりを目指すのか、経済や安全保障はどうするのか。憲法改正にはどう臨むのか。まったくの未知数だが、それらを「希望」という名で覆い隠している。

☆ 残念ながら、国民はこの手のイメージに結構弱い。生活の閉塞感、既成政党への不満が一気に「未知数」への期待となる。

☆ こんな時、かつての自民党は敵将の身辺を徹底的に洗い出し、スキャンダルを掘り起こす。細川首相の時のように。ただ、場合によっては味方につけねばならない、このあたりが自民党の辛いところであろうし、小池さんのうまいところだ。


☆ さらに小池氏、首班指名は公明党の山口代表だという。これには恐れ入った。

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「希望」の風が吹くか

2017-09-25 15:26:25 | Weblog
☆ いよいよ総選挙か。

☆ 突然ともいえる安倍総理の解散表明だが、政界再編を加速しそうだ。

☆ 急ごしらえの「希望の党」だが、小池東京都知事が代表ということで、影響が必至。風が吹けばかつての日本新党のようなブームになるかも。小池新党が体制を固める前に解散という安倍総理の思惑は、当たるか外れるか。

☆ 希望の党、主だったメンバーを見ると、民進党の右派が中心のようだけれど、勝ち馬に乗ろうと民進党だけではなく自民党からも離党者が出るかも知れない。駆け込み離党か。

☆ マスコミは「ポピュリズム」と批判するだろうが、民進党を始めとして既成政党がだらしないのが原因だ。

☆ 自民党も民進党も議席を減らしそうだが、心配なのが改憲勢力が増えてしまうことだ。自民党をはじめ民進党、希望の党、維新、全部改憲に傾きそうだ。民進党の一部には護憲派がいるから、どうするかは注目。公明党の立場も微妙だね。

☆ 数の力で押し切らず慎重に審議してほしいものだ。
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江國香織「つめたいよるに」

2017-09-25 11:54:50 | Weblog
つめたいよるに (新潮文庫)
クリエーター情報なし
新潮社


☆ 江國香織さんの短編集「つめたいよるに」を読み終えた。

☆ 「デューク」で、江國さんの作品にすっかり魅せられてしまった。

☆ それからも少しずつ読み進めた。どの作品も数ページの短いものだったが、それぞれに悲哀あり、ぬくもりありで、笑ったり、じわっときたりと読みごたえがあった。

☆ 後半の「温かなお皿」から。このシリーズにはこだわりの「食」が登場する。

☆ 「朱塗りの三段重」
 新婚夫婦だろうか。初めて迎えるお正月に夫の両親を招くという作品。奥さんの愛犬ローズィーがいい。テーブルをはさんで片側に夫、ローズィー、妻が座り、向かい側に夫の両親が座る場面。目に浮かぶ。嫁姑の戦いもチラリ。最後のオチも面白かった。

☆ 「ラプンツェルたち」
 女子学生が住むマンションが舞台。女子学生たちの動きや会話が実に生き生きしている。みんなそれぞれに悩みは抱えながらも実に楽しそうだ。

☆ 「子供たちの晩餐」
 両親が外出している間の子供たちのちょっとした冒険。誰にでもありそうなことだ。
 私にも思い出がある。うちに初めて電子レンジが来た頃、両親の留守の間に冷凍ピザをチンしたことがある。まだ電子レンジの使い方がわからなくて、黒焦げ、部屋中に煙を充満させた。黒焦げのピザはごみ箱にうまく隠した(捨てた)が、両親には煙でバレてしまった。

☆ 「晴れた空の下で」
 老夫婦に流れる静かな時間。でも奥さんはすでに亡くなり、夫は認知症のようだ。人生の黄昏の食卓に「玉子焼きと手鞠麩のおつゆ」が並ぶ。

☆ 「さくらんぼパイ」
 離婚した夫婦と一人娘の話。「さくらんぼパイ」が食べたくなる。

☆ 「藤島さんの来る日」
 恋人同士、いや不倫?猫の視点から見た男女の日常。

☆ 「緑色のギンガムクロス」
 パートナーを失った異父姉妹の話。何気ない会話に癒しを感じる。

☆ 「南ヶ原団地A号棟」
 子どもたちの作文の形で、それぞれの家族を描写している。子どもは本音を言う(書く)から面白い。

☆ 「ねぎを刻む」
 主人公の孤独感はどこから来るのだろうか。孤独感を癒すためにねぎを刻む。泣きながら「これでもか」と刻む。ねぎに感情があるのならたまったものではないが、その大量のねぎはみそ汁の中にドサッと広がり、冷奴の上にもドサッと盛られる。おいしそうだ。

☆ 「コスモスの咲く庭」
 中年男性の話。妻と娘はデパートへ。男性は何を思ったか料理を始める。若いころ作って評判だったという海鮮焼きそば。それに昔の彼女が好きだったヨーグルトも冷蔵庫へ。料理ができたときには午後3時。「さぁ食べよう」と思った瞬間、玄関が開いた・・・。

☆ 「冬の日、防衛庁にて」
 女二人の冷戦。多分、離婚した妻と別れた男の新しい彼女。二人はイタリア料理を食べる。元妻は終始微笑んでいるが、それまでにどれほど涙を流したことだろう。その微笑みがグサッと刺さる。

☆ 「とくべつな早朝」
 クリスマスイブにコンビニの深夜バイトは辛い。しかし、そんな寂しい男性にもささやかな光が差し込んでくる。冬の朝だけれどアイスクリームが心地よい。

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中野信子「サイコパス」

2017-09-24 19:09:01 | Weblog
☆ アメリカのドラマ「クリミナル・マインド」にはさまざまなサイコパスが登場する。

☆ FBIのドラマなので主に連続殺人犯を扱っているが、人の苦痛を自らの快楽とするような猟奇性には目をそむけたくなる。(ただそうしたドラマを見ているということは、私にもいささかのサイコパシーがあるのかも知れないが)


☆ 中野信子著「サイコパス」(文春新書)を読んだ。

☆ 本書は、心理的・身体的特徴や脳科学によってサイコパスに迫っている。さらに、なぜサイコパスは淘汰されず、一定の割合で存在し続けるのかにも言及している。

☆ サイコパスとは、反社会的な人格につけられた名前だ。といっても、必ずしも犯罪に結びつくわけではない。その数は、100人に1人(アメリカでは全人口の4%)と言われている。

☆ ママさんグループのボスや会社のパワハラ上司、大学の指導教官など、自分の周りを見渡せば思いつく人がいるかも。もしかしたら、自分自身がサイコパスだったりして。

☆ 中には政治的リーダーや大起業家、法曹界やタレントとして成功を収めている人も多いという。本書では歴代の大統領、アップルの創始者、織田信長の名前まで上がっていた。

☆ 時代の変革期や集団が危機的状況に陥った時、不安や危険を顧みず、旧弊を破壊し新たな時代を築く人物が必要となるのだろう。ただその攻撃性や自己中心性は、危険性も秘めている。


☆ 映画「地獄の黙示録」(1979年)のカーツ大佐はサイコパスだろうか。

☆ 映画「フルメタル・ジャケット」(1987年)の前半などは、サイコパス養成訓練のようだ。

☆ 高齢者の後妻となり、次々と殺人を繰り返した女性や架空の投資話で知人から大金をだまし取った女性などもサイコパスだろうか。新興宗教の教祖などこの手の人が多いように思う。度肝を抜かれるような少年・少女の犯罪も脳の器質的な異常なのだろうか。


☆ 本書は、「サイコパス」に脳科学(形質の特徴であったり、脳内分泌物質)から斬りこんでいるところが面白かった。  

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「スイート・ラバーズ」

2017-09-24 12:38:32 | Weblog
☆ 江國香織さんの「つめたいよるに」(新潮文庫)から「スィート・ラバーズ」を読んだ。

☆ 病床に横たわる祖父。それを見舞う孫が主人公。彼女には秘密があった。彼女が生まれる前日に亡くなった祖母が自分の中にいるようなのだ。

☆ 「ええぞぉ、夫婦は」。その言葉を残し祖父は孫の中の祖母とともに旅立っていく。

☆ 美しい作品だった。
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「ムムム」

2017-09-24 11:37:34 | Weblog
☆ 木皿泉(和泉努さんと妻鹿年季子さんご夫婦のペンネーム)の「昨日のカレー、明日のパン」(河出文庫)から「ムムム」を読んだ。

☆ 「ムムム」とか「ギフ」とか、最初は何のことかと思った。「ムムム」は隣家の女性のニックネーム。「ギフ」は義父なのだった。

☆ 主人公はテツコさん、28歳。19歳で結婚しこの家に嫁いできたが、夫が急逝。「ギフ」との奇妙なな二人暮らしにも慣れてきた。そんなテツコさんが、恋人の岩井さんからプロポーズされる。さて、どうなるやら。

☆ 登場する人々が何かのんびりしていて癒される。外から見れば日常の風景だけれど、人それぞれに思いがあるんだなぁと思った。

☆ 「諦めることなく歩いていると、ふいに、次の世界へのドアが見えるのかもしれない」(41頁)という文には勇気づけられた。

☆ 続きを読んでいきたい。
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池上彰「わかりやすく<伝える>技術」

2017-09-23 18:05:31 | Weblog
☆ 池上彰さんの説明はなぜわかりやすいのか、その秘密を自ら解説した本だった。

☆ 池上彰さんの「わかりやすく<伝える>技術」(講談社現代新書)。

☆ 実に分かりやすい本で、リード文を読むだけでほぼ内容がつかめた。所要時間30分。

☆ 池上さんは「わかりやすい説明とは、相手に「地図」を渡すようなものだ」(18頁)と語る。話の目的地を示すことで聴衆(読者)は道に迷はなくて済む。

☆ 話す内容は3つに絞れ(「三の魔術」152頁)というのは、使ってみようと思った。

☆ みのもんたさんや久米宏さんの技の紹介は、非常に面白かった。みのさんの「天性」と「努力」、久米さんの「寸止めの技」「言葉にせず伝える技術」、なるほどなぁと思った。

☆ とても参考になった。
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水野和夫「資本主義の終焉と歴史の危機」

2017-09-23 11:15:24 | Weblog
資本主義の終焉と歴史の危機 (集英社新書)
クリエーター情報なし
集英社


☆ アベノミクスは、金融、財政そして成長戦略を掲げるが、一向に庶民の暮らしは楽にならない。それはなぜなのか。

☆ 資本主義というシステムが瀕死の状態で、もはや栄養剤を入れ、強心剤を注射しても、回復は望めない。ここは死を受け入れ、新たなシステムで生まれ変わらざるをえない。そんなことを感じた。


☆ 本書はずごい。今、世界で起こっていることのカラクリをすべて暴露してしまった。

☆ 資本主義がどのようなシステムで、それはもともと格差を生む構造を内蔵していること。日本を含む先進国が豊かさを享受し、「一億総中流」などと謳歌できたのは世界の貧しい人々を踏み台にした結果であること。今や地球上に安価で資源を確保でき、また商品を高く売れる「地理的・物理的空間」はなく、無理やりつくられた「電子・金融空間」はリーマン・ショックとして破裂してしまった。

☆ 「中心」と「周辺」の組み換え作業であるグローバリゼーションは、北半球の先進国(富める国)、南半球の途上国(貧しい国)といった構図を、それぞれの国での格差拡大へと変えた。具体的には、アメリカのサブプライムローン問題であり、日本の非正規雇用の問題であり、ヨーロッパのギリシャ、キプロス問題となって現れている。(42頁)

☆ 本書はこうしたことを綿密なデータで実証している。私は経済学が苦手で、細かい数字はわからないが、資本主義が終焉を迎えようとしているのはよくわかった。

☆ さて、では次のシステムはどのようなものか。それについては著者も明確にはわからないとしている。ただいくつかの示唆を書いている。

☆ まず大きく二つのシナリオがあるという。ハード・ランディングとソフト・ランディングである。

☆ ハード・ランディングは、マルクスが19世紀に予言したような階級闘争や戦争の危機。

☆ ソフト・ランディングは、成長中毒を放棄し、「ゼロ金利、ゼロ成長、ゼロインフレ」といった「定常状態」(ゼロ成長社会)を維持し、次のシステムの登場に備えよ、というものだ。具体的には、財政の健全化(収支の均衡)、安価なエネルギーの開発、労働条件の改革(正社員化、ワークシェアリング)、富の再配分(法人税を下げず、富裕層に課税する)などが提言されている。

☆ まったくの正論だと思うが、経済同様、政治もわずか数パーセントの富裕層が牛耳っているから、社会主義化とも思えるこれらの政策を積極的に実現しようとするかは疑問だ。ただ、こうした備えをしておかねば、富裕層の先に待っているのは断頭台かも知れない。

☆ 資本主義が民主主義と表裏一体であるという指摘も、なるほどなぁと思った。資本主義の終焉は民主主義の危機にもなりかねない。かつて封建領主制が崩れる時、絶対王政という権力集中によってその「中世」の延命を図ったように、資本家帝国が狡猾にもアメとムチを巧みに使い「近代」の延命を図るかも知れない。ナチスのような強権が登場するかも知れない。あるいは庶民には禁欲、節制を規範とする新たな「宗教」が台頭するかも知れない。

☆ そんな窮屈な未来を避けるには、「量」から「質」へ、拝金主義から知足・幸福主義への転換が必要か。あるいは未知なるフロンティアを発見するか。いずれにせよ、地球の人口は2100年には120億に達するという推計もある。地球自体の限界が近づいている。

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