★ 天声人語で紹介されていたので、志賀直哉の「流行感冒」(「小僧の神様・城崎にて」新潮文庫所収)を読んだ。
★ 志賀家で働く「石」という女中を中心とした話だった。志賀家では初めての子を亡くしてから、子育てにはかなり神経質になっていた。この辺りは他人目には、良家の親バカとも思えるのだが、子を思う気持ちに貧富、身分の差はない。
★ 志賀家には「石」、「きみ」という二人の女中がいた。スペイン風邪が流行していた時代。例年楽しみにしていた巡業芝居の観劇も今年は自粛することにしていた。ところが「石」は目を盗んで芝居に行ったようだ。それを疑う主人に「石」はウソを繰り返す。一事が万事、主人は「石」に暇を出そうと決心する。しかし、いざ門を出てしまうと、いささか極まりが悪い。「石」の将来が気になりだした。
★ とりあえず今回は許すことにした矢先、主人が流行感冒に感染した。あれだけ口やかましく感染しないようにと言っていた本人が罹ってしまい、少々気恥ずかしいようだ。それに妻や幼子にも伝染してしまった。さらに女中の「きみ」や東京から呼んだ看護婦まで。この時、活躍したのが「石」だった。昼間は普段以上に家事をこなし、夜はむずかる幼子を負ぶって、不眠不休の働き。その姿に主人は感心したようだ。やがて「きみ」が養生先の実家から帰ってくるともとに「石」に戻ってしまうのだが。
★ 普段はボーっとしていたり、欠点が目につく人物もいざというときには思いもかけない活躍をする。この場面が一番面白かった。
★ 志賀家で働く「石」という女中を中心とした話だった。志賀家では初めての子を亡くしてから、子育てにはかなり神経質になっていた。この辺りは他人目には、良家の親バカとも思えるのだが、子を思う気持ちに貧富、身分の差はない。
★ 志賀家には「石」、「きみ」という二人の女中がいた。スペイン風邪が流行していた時代。例年楽しみにしていた巡業芝居の観劇も今年は自粛することにしていた。ところが「石」は目を盗んで芝居に行ったようだ。それを疑う主人に「石」はウソを繰り返す。一事が万事、主人は「石」に暇を出そうと決心する。しかし、いざ門を出てしまうと、いささか極まりが悪い。「石」の将来が気になりだした。
★ とりあえず今回は許すことにした矢先、主人が流行感冒に感染した。あれだけ口やかましく感染しないようにと言っていた本人が罹ってしまい、少々気恥ずかしいようだ。それに妻や幼子にも伝染してしまった。さらに女中の「きみ」や東京から呼んだ看護婦まで。この時、活躍したのが「石」だった。昼間は普段以上に家事をこなし、夜はむずかる幼子を負ぶって、不眠不休の働き。その姿に主人は感心したようだ。やがて「きみ」が養生先の実家から帰ってくるともとに「石」に戻ってしまうのだが。
★ 普段はボーっとしていたり、欠点が目につく人物もいざというときには思いもかけない活躍をする。この場面が一番面白かった。