野田首相は数日前から年内解散の方向で、あれこれと画策を練っておられたようですが、解散を恐れる勢力による党内クーデターを恐れ党首討論の場を利用して解散宣言という挙に出たのではないでしょうか。戦う相手が自党の勢力であるという意味で、周到な戦略に立脚した解散から程遠いもので、いわば野垂れ死に回避の破れかぶれ解散というべきものではないかと考えます。
ただ問題は、来年の通常国会において議員定数削減の実現を条件としたことです。私は以前より「議員定数削減は本当に国民の要望か?」その他で書いておりますように、むしろ議員定数は増やす方が望ましいと考えております。そもそも民主政治には無駄が多いものです。その無駄を単にコストと割り切って切り捨ててしまうことが健全な社会システムにとって良いことであると言えるのでしょうか。
しかし、考えなければならないのは、この危機的国家財政状況です。皆が協力していかなければなりません。私は、もし議員が身を切りたいと考えるならば、それは議員歳費や政党助成金などの削減でも可能なことであろうと主張しております。
このような議論をするとき、これを実現したら誰が損をし、誰が得をするかを考える必要があるように思います。議員定数削減は、チョット見では議員が損をするように思われるでしょうが、実は有権者たる国民が損をしているのです。得をするのは、言わずと知れた議員が減れば得をする面々です。政治コストの削減の議論が、議員定数削減に矮小化されております。
議員定数削減はマスコミも支持しております。マスコミが大々的に主張すれば、国民もそのような理解になっていきます。即ち、世論が形成されます。マスコミは世論調査と称して、結果を報道します。その結果、議員定数削減すべしといった数値が大きいと、国民もそうなんだなーといったことで納得します。かくしてこのような過程を繰り返すことによって、世論操作を行うことも可能になるのです。
この度、野田首相は議員定数削減を敢えて持ち出しました。せっかくの機会ですから、この際真剣に議論しようではありませんか。私は議員定数削減は、民主主義の危機であると認識しております。皆様のご反論・ご意見をお待ちしております。