山浦清美のお気楽トーク

省エネ、農業、飛行機、ボウリングのことなどテーマ限定なしのお気楽トークができればと思っております。

スマホで自動車をリモコン?

2014-01-08 | 政治・経済・社会

 スマホから自動車をリモコン操作する開発が進み、間もなく実用化される見通しであることが報道されておりました。具体的な利用法として、「ドアの開閉」、「エンジンの始動・停止」、「車庫入れの運転」などが例示されておりました。

私などは、「スマホなどによる家電の遠隔操作について」で書いているのと同様に、その必要性を疑ってしまいます。あれば便利かなとは思いますが、どうしても必要な機能だとは思いません。

 特に、自動車に場合には家電などと異なり、用い方を誤れば走る凶器にもなりかねません。走行をサポートするための補助的なものであれば、例え間違った操作をしても大したことはありません。しかしながら運転操作そのものを制御するようなことにまでスマホを利用した場合には、重大な結果をもたらす可能性を否定することはできません。

 これまでは、このような危険性を伴うような制御を行うような場合には、専用のシステムが構築されてきました。それでも様々な問題を惹起してきたことを思い起こしましょう。コンピューターを含む電子機器は、ノイズなどの外部要因やソフトウエアのバグなどの内部要因で誤動作を起こすことがあります。このような制御系だけでクローズしたシステムですら誤動作する可能性があるのに、スマホのようにネットに接続するような端末でもってシステムを構成するとなれば誤動作の可能性を大きく引き上げることになります。下手をすれば、ハッカーにスマホを乗っ取られ自動車が一斉に暴走を始めるなどといったことにもなりかねません。

 いくら安全性を向上させたからといっても完全無欠なシステムを実現できるはずもありません。なにがしかの危険性を伴うことを承知した上で利用する必要があります。

 自動化を追及するとそれにつれて人間の能力が低下してきます。運転免許を取得する際には、得手不得手の違いがあろうと一定のレベルには達していたでしょう。ですが使わない能力は衰えます。スマホが常に使えるとは限りません。いざと言う時には日頃の技量がものをいいます。最後は人間の操作に頼らなければならない状況が必ず発生します。このような時にお手上げでは何とも情けない話です。それよりも運転技能を向上させることに重きを置く必要があるように思います。でなければ人間の能力は退化に退化を重ね、もはや機械なしには何も出来なくなってしまうでしょう。

 話が飛びますが、私が大学に入学した時にある物理学者から言われた言葉を思い出します。「君達は物理を学んでも学者にはなれないだろう。君達が物理を学ぶのは、砂漠や太平洋のど真ん中に独り取り残された時のように、計算機はおろか紙も鉛筆も何も無いなかで、現象を観測し、分析し、推測し、行動する術を得るためなのだ。」といった趣旨のことでした。それは将来社会に出たときに遭遇するであろう諸問題に対して、それぞれの立位置で独力で解決していく能力を物理を通して学びなさいといったことと受け取りました。そのご期待に沿えたかどうかは判りませんが、それに近づくべく現在も努力中であります。

 あれが無いと出来ない。これが無いと出来ない。と繰言ばかりいってても何の役にも立ちません。置かれた状況の中で、何が出来るかを考え、実行していくことが大切なのではないでしょうか。