原発に「賛成か?」、「反対か?」と選挙の争点をぶち上げるところなどは面目躍如といったところでしょうか。
原発事故後に実施された国政選挙では、直接的に原発問題が争われてきておりません。確か原発を積極的に推進するといった政策を掲げた政党は無かったと記憶しております。しかし、現政権においては、あたかも国民から信任を得たかのように原発再稼動に向けて突き進んでいることは明らかなことでしょう。このような状況を踏まえれば、都知事選において有権者に判断を仰ぐことは重要なことともいえます。
ただ惜しむらくは、国政選挙ではなく、原発立地自治体でもない一自治体の首長を選ぶ選挙であることでしょう。確かに東京都は最大の電力消費都市でもあり、東電の大株主でもあります。そして、その選挙結果が国政に与える影響も大きいでしょう。となれば、都知事選の結果が全国民に及ぶことになります。果たしてそのようなことで良いのでしょうか。
そもそも原発問題は都知事選の争点として相応しくないと考えます。当然のことながら立候補予定者は、それぞれの政策などの公約を掲げて選挙戦を戦います。細川氏も例外ではありません。原発の是非だけ問うといったことが出来ようはずもありません。有権者の考えと政策が完全に一致することなどほとんど無いと思います。ですからより近い方にといったことになろうかと思います。従って、有権者の思いと実際の政治が異なる結果となってしまうのは致し方ないことでもあります。ですから、その結果をもって原発の是非の判断とすることには疑問を感じざるを得ません。
このような国論を二分するような議論は、本来ならば国民投票や住民投票によるべきであろうと考えます。(参考:「原発政策決定には国民投票を!」「原発の運転再開は住民投票で!!」)
ですから、小泉元首相が国民投票や住民投票の実施を呼びかけるということであれば諸手を挙げて賛成します。しかし、都知事選を絶好のチャンスと捉えられたかどうかは知りませんが、今回の件はどうにもいただけないように思います。
されど、これを契機として原発問題に関する議論が深まることは良いことではないかとも思います。
私自身は「原発をどうすべきか」で書いておりますように原発問題に対して、未だに明確な見解を持てずにおります。