かねうりきちじの横浜・喫茶店めぐり

珈琲歴四十年の中の人が、珈琲豆荷揚げ量日本一を誇る横浜港のある町の喫茶店でタンザニア産コーヒーを飲み歩きます

5枚目の花びら

2013年05月30日 | 旧ブログ記事(競馬関係)
競馬をやっていると、当たり前ですが、うれしいこともあれば、かなしいこともあります。

うれしいことは、もちろん応援している馬が勝つこと、応援している馬がいないレースなら馬券が当たること。

でも、応援している馬が負けたり、馬券が外れてもかなしくはなりません。

かなしくなるのは、ジョッキーが落馬で命を落としたり、ひどい怪我を負ったり、競走馬が走っている最中に大けがをして、関係者が大きな決断をしなければならない時です。

そんなかなしくなることが、2日連続で起きるなんて。

昨日はジョワドヴィーヴル、そして今日はフィフスペトル。

特にフィフスペトルはキャロットクラブの所属で、2歳時から息長く活躍していたこともあり、ずっと応援していました。

フィフスペトル Fifth Petal

お母さんはライラックレーンという名で、そこから連想して名づけられた名で、その由来はこうです。

  「5枚目の花びら」の意。 5枚の花びらを持つライラックはハッピーライラックと呼ばれ、
  幸運のシンボルとされる。皆に幸せをもたらし、自身も幸運に恵まれるように願って。」
                                      (キャロットクラブHPより)


一度、2010年4歳の時に骨折しましたが、そこから復活して翌年にはG3の京王杯AHを勝ち、マイルCS(G1)も2着になるなど、その名の通り「幸運に恵まれた」のに。



競走馬が怪我のために命が絶たれると、必ず次の文章を思い出します。

高橋源一郎さんの「天国のどこかで」(『競馬漂流記』所収)の一文です。

アメリカ最大の競馬のレースブリーダーズカップの記者席で、競走中に怪我をした馬のことでメキシコ人記者ガルシアとの会話です。

  「そういう時、おれはこう思うことにしているんだ」とガルシアが言った。
  「空のずっと上の方にチャーチルダウンズやサンタアニタよりずっといい
  競馬場があって、天に召された連中はそこで走ってるってね。こういう
  考え方は感傷的かい?」
  「そんなことはないよ」思わずわたしは強い調子で言った。
  「なにかの本で読んだんだけれどね。天国っていうのは、わたしたちの
  記憶や追憶で出来ているんだそうだ。だから、わたしたちがその馬を
  覚えている限り、彼らは天国でも走り続けられるはずだよ」


そして、最後に「天国のどこかで」という詩が紹介されています。

その最後の一節です。

  「この競馬場では/誰も苦しまない/誰も傷つくことはない/
  馬たちはただ全力で走るだけだ/ここでは誰もラシックスなんか使わない/
  鞭うたれることもなければ/注射を打たれることもない/病気も骨折も苦痛も死も/
  もう馬たちには追いつけない/さぁ、走っておいで/友よ/
  きみが地上で走るのを止めたところから」



2009年ダービー

フィフスペトルよやすらかに

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする