nonnon日記
某施設での話である。
9人の入居者さんの中の一人に
ウツ病のOさんがいた。めまいがする、とか
お腹が張る、心臓がドキドキする、
今日はダメだ、もう倒れそう、
と誰彼つかまえては、毎日不調を訴える。
それに対して若いスタッフ達は、うんざりしてかなり冷淡。
「聞いてると、私まで気持ちが沈んじゃうのよね。」
「今までも、怒った方が、良い状態になることが多かった。」
とかとノタマッテ、「前向きに考えなきゃダメだよ」
「調子悪ければ、部屋で寝ていてください。」と、
強い語調で、個室に追い返す。
新米ヘルパーが、話を聞いていると、すぐ、
先輩ヘルパーが別の用を言いつける。
自分の置かれた‘状況’を理解しているOさんは
「もう行った方がいいわ、あなた、私と話すと怒られる・・・。」
(これじゃ、小学校の‘イジメ’じゃありませんか?)
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年金をたっぷりもらって、標準より高い費用を払っている
裕福なお年寄りばかり入居している某施設である。
スタッフも、日々こなさなければならない所定の業務が
あるので、ゆっくり一人の入居者に対応する余裕がない
のも分かる・・・けれども、今や、日本国の流行語かとも
思える‘ウツビョウ’への対応の、この‘貧しさ’・・・・。
新米ヘルパーも、彼女の為にできることはした。
施設の理事長への連絡ノートに、
「スタッフの皆さん、うつ病の利用者様のお話をよく聞くよう
心掛けている様子です。」??と書き込んだり・・・
来訪したご家族に、「風邪や腹痛を見る内科医の先生
(施設提携の医院)じゃなくて、専門の心療内科の先生に
かかって良い薬に出会えば、治りが早いのでは?」と。
娘さん二人、早速、今日受診に連れて行かれた。
「お母さん思いの、優しいお嬢さん(と言っても、私と同世代)
が二人もいらして、Oさんは、充分、幸せじゃないですか」
と申し上げたら、Oさん、ちょっと嬉しそうな表情だった。
・・・・そして・・・本日、新米ヘルパーは、皆さんに
「お別れのお菓子」を配った。
‘新米’のまま、この職場を去るのも‘シャク’では
あったが・・・‘夫の介護’という‘大義名分’!
「辞める」・・・と告げた時のホーム長の嬉しそうなお顔!
「またご縁があったら・・・」とおっしゃるので
「ええ、今度は利用者としてお世話になるかも・・」と私。
「ああ、そうですね・・・あ、いや、とんでもない・・・」
ニコニコ笑顔で・・・[発つ鳥は後を濁さず]・・・・
・・・でもOさんには、お別れを言えなかった・・・
彼女だけは、記憶力が確かなので、あの中でただ一人、
淋しく思ってくれるであろう。それは私にとって‘光栄’
だけれど、彼女にとっては悲しみがひとつ増えること。
ごめんね、Oさん。
どうか元気でいてください。 さようなら。