nonnon日記
私には、7歳年上の従姉がいます。私の夫が難病になってから、よく電話をくれた
り、病気に関する新聞の切り抜きを送ってくれたり、心配してくれて有難い存在で
す。今日はこの従姉のY姉さんの話をご紹介します。
今から48年前、夫が新卒で勤めた会社は、某化学会社でしたが、
結婚して、子供が生まれてからも、東京圏で2年毎に転勤がありました。
(どこに転勤になっても、社宅があったので、住居の心配はなかった。
社宅の賃貸料は当時どこも数千円でした!)
ところが、30代前半で夫が転職した際、当然この社宅を出なければならなくなっ
た。とても厳しい東京の住宅事情・・・「どうしよう?」と困っていた時、「うち
の家を貸してあげる」と手を差し伸べてくれたのが、千葉に住んでいた(母系従姉
の)Y姉さんでした。自分は、東北に単身赴任中のご主人の所に行くので、一戸建て
の家をうちらに貸してくれるーと。その後、数か月、同居して暮らしたこともあ
りました。温和で頼り甲斐ある従姉です。
そのうちら一家が大層お世話になっていた時期、そのY姉さんに、「事件」が
降りかかった!(金額が大きかったので、私も鮮明に覚えている)
ある日・・・Y姉さんが、階段に座って、フツーでない溜息をついていた・・・。
「どうしたの?」と尋ねたら・・・「ねェ、2000万、何だろうねェ、2000万よ!
女性かな?」・・・・よくよく聞いてみれば・・・
単身赴任中のY姉さんのご主人、S義兄さんが、「2000万円をギャンブルで使い込ん
だ」と言ったそうだ。親戚中で評判の良い、S義兄さんが?(航空会社に勤めていて
航空機事故があった時も事後処理の仕事で、遺族に尽くして、仕舞には遺族に
「あんたが私の本当の息子のような気がする」と言われたそうなのである。
合わない上司の下で働いた時、「今度の人事異動で、上司が変わらなかったら、
ボクは東京湾に浮くかもしれない」と言って、Y姉さんに、お尻を叩かれた、とか。
(子供はいなかったけれど、とても仲の良い夫婦だった。)
で、結局その「事件」の穴は、Y姉さんの実家が、土地を売って補填したそうなので
ある。できたY姉さんの父親が、「単身赴任させて、付いて行かなかったお前の責任
もある」と言ったとか。
その「事件」のことを知っていたので、その後、認知症になったおばあちゃんを
Y姉さん夫婦が自宅でずーっと甲斐甲斐しく看ても、私の中では、S義兄さんの株
は、MAXには、上がっていなかった・・・・
ところが、である!!
年月は流れて・・・・昨年1月、S義兄さんが亡くなった。
1年以上経ち・・・子供のいない Y姉さんは、老人ホームを決めて、家の整理を
始めた・・・・
S義兄さんの残した古い書類や郵便物を整理していると・・・
何と、ある人からの、あの「2000万円事件」に関する、「手紙」が見つかった
そうなのである。
その人は、ものすごくS義兄さんに感謝している由。(Y姉さんの言)
どうも仕事上でミスが起きて、2000万円の穴が空いた らしくて、それを
S義兄さんが「カブッタ」 らしいそうなのである。(40年以上昔の話)
それを妻には 「営業のお客さんとルーレットで遊んだ」と。
( 外に漏れてはならない事案だったので、妻にも話せなかった?)
そして沈黙したまま、真実をお墓の中まで持って行ってしまった!
凄い話だなーーと思う。
学生時代は柔道部で活躍したそうで、温和でデーンとしたS義兄さんでした。
お見合い結婚でしたが、従姉のY姉さんのご主人はーー
改めて・・うちらとは違うスケールの人だった・・と亡くなった後、知りました。
高度経済成長期を駆け抜けた 「ザ・サラリーマン」でした。
昨年、コロナ禍中、病院で面会もままならない中、やっと会えたY姉さんに、
「ボク、あんたで良かった・・・」と最期の言葉を残したそうです。
Y姉さんのS義兄さんへの「思い」は・・・過去のその「手紙」で一層深まったで
しょうか?
それで一層淋しくならなければいいですが・・・