nonnon日記
夫の病室、向かいのベッドは、80代男性Nさん。
2年前、水頭症で入院したが、完治して自宅で普通に生活していた。
町内会の役員もし、友人も多く、麻雀も楽しむ日々に戻っていたそう。
積極的に外出もしていたところ、半年前、バスの中で転んで、脳内出血。
救急車でこの病院に運ばれ、大手術。主治医は、「すっかり血は取り切れて
いない」と言ったそうである。それでも、夫の病室に移ってきた時は、
意識不明の重体から、ウーとかアーとか、家族の呼びかけに答えるように。
「良くなるかもしれない」と、家族が期待したところで、今度は肺炎になって
10日間。酸素マスクの下で、苦しそうに痰にむせる様子は、痛々しかった。
まめに痰をとってくれる看護師さんが、部屋担当の時は、穏やかだが、
なかなか取ってくれない看護師さんの時には、患者はひたすら痰と格闘。
傍で見ているこちらが、辛くなる程であった。
そして今日、胸に付けた心電図センサーの異常で、看護師さんが、5人、
飛んできて、Nさんは、特別室へ運ばれた。
私は思う。
これでNさんが、天国に召されるならば、Nさんのここ6か月の苦痛、苦難は
何だったのだろう?
70代後半の奥さんが、雪の中、交通機関を3っ乗り継いで通ってきた日々は?
Nさんは、バスの中で、脳出血を起こして、そのまま天国に直行した方が、
ずーっと苦痛が少なかったのではないだろうか?
夫の病院付添いの日々のお蔭で、私は 『予行練習』 を沢山、沢山させられ
ている気がする。 スーパー銭湯に浸かり、晩御飯をしっかり食べて、そして
また明日、『予行練習』 に元気に出掛けていくのだ。
病院の中で、強い人、弱い人、に出会い、優しい人、きつい人に出会う。
これもまた、夫と私が共有している、大事な人生の数頁であるのだ。