人生ブンダバー

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10/3 関西紀行(2) 『海道東征』

2016-10-11 05:00:00 | 音楽

10月3日(月)夜は、『海道東征』の演奏会(於ザ・シンフォニーホー
ル)。
『海道東征』の演奏会は、信時潔没後50年の昨年、大阪で2回、東
京で1回開催されたが、気づいた時は完売だった。

今回、ローソンで購入したチケットは座席指定ができず、ふたを開け
たら、なんと前から2列目の「かぶりつき」。
オケの後ろに並んだソリストの顔もほとんど見えなかったが、意外や
音はなかなかよかった。さすが、ザ・シンフォニーホール!


<プログラム>
1.スメタナ 連作交響詩「わが祖国」より モルダウ
2.大栗 裕 管弦楽のための「神話」
        --天の岩屋戸の物語による--
--休憩--
3.信時 潔 交声曲『海道東征』(作詩;北原白秋)
4.信時 潔 「海ゆかば」

指揮;大井剛史
Sop.;幸田浩子
Sop.;北野加織
Alt.;糀谷栄里子
Ten.;二塚直紀
Bari.田中 勉
管弦楽;大阪フィルハーモニー交響楽団
合唱;大阪フィルハーモニー合唱団
児童合唱;大阪すみよし少年少女合唱団



いつもながらつたない感想を・・・・・・ 
どうしても『海道東征』のコメントが長文になってしまうけれど。
( )内は概算演奏時間

この日の開演は午後6時30分。「7時」との思い込みには要注意、何
回もチケットを見直す。
客席はほぼ満席。女性の和服姿も多し。一度、私も和服(--持って
いないが。)で行ってみたいものだ。

指揮者の大井さんは、今年42歳になるのかしらん。芸大卒、安宅賞
を受賞。私は初めて聴いた。やや地味な印象だが、かなり活躍され
ている。

1.スメタナ 連作交響詩「わが祖国」より モルダウ(13分)
大フィルの弦楽配置は、下手から1st、2nd、チェロ、ヴィオラ。きっち
りとイン・テンポを基調とした、前へ流れる演奏。
大井さんはオーバー・アクションのない、玄人好みの指揮ぶりだ。

2.大栗 裕 管弦楽のための「神話」
        --天の岩屋戸の物語による--(14分)
ゆっくりと、幻想的に始まり、途中からティンパニ、ボンゴ、コンガが入
り、ラテン系に明るくなる。静と動の音楽を大井さんは確信をもって指
揮していた。

3.信時 潔 交声曲『海道東征』(作詩;北原白秋)(55分)
7時19分、大フィル合唱団が左右から入ってくる。福島章泰さんが指
導しているアマチュア合唱団だ。私の席から合唱団全体が見えなか
ったが、130人くらいかしらん。少年少女合唱団は16人。

7時23分にオーケストラが入る。7時25分にソリストが入場、顔はよく
見えないが拍手する。
曲は、あらためて言うまでもなく、神武(天皇)の東征物語--『古事
記』の世界だ。

全体は8つの章、曲からできており、シンメトリー構造である(そういえ
ば、ブラームスの『ドイツ・レクイエム』全7曲がシンメトリー構造)。短
い曲は4分弱、長い曲で9分になる。
曲により、日本音階と西洋音階を使い分けている。ものすごく考え抜
かれた作曲(音)だ。

第1章「高千穂」(8分)
「レ」で始まり、「レ」で終わる、日本音階--壱越調(「君が代」と同じ
!)だ。開始早々「レレレドレー」で、バリトンの田中さんがまことに立
派な声を出した。日本人の「アイデンティティー」を意識する。
ソロの部分を私の後ろのご婦人(老人)が無意識か、一緒に歌い出
す(合唱に入ると止めてくれた)。
続く合唱もツカミがすばらしい。まことに上手いコーラスだ。
プログラムにも歌詞が出ていたが、私にはなかなか難しい。ステージ
の左右に大きな「字幕」が出ており、これは大変よかった。

第2章「大和思慕」(3分)
ソリストは、ソプラノ2人とアルトの登場。皆さん、いい声だ。

第3章「御船出(みふなで)」(9分)
この合唱(男声、女声、混声)もすばらしく(!)、感動的だ。大井さん
は部分的に一緒に歌う。アルト・ソロの糀谷さんも強い声。CDであれ
ば、この曲だけ繰り返し聴くのもよろしいのではないかしらん。

第4章「御船謡(みふなうた)」(10分)
「其の一」でピアノ伴奏による、朗々たるバリトン・ソロの聴かせどころ。
日本音階だ。
続く、管弦楽がこれまた感動的。「其の二」のテナー・ソロの二塚さん
も力強いベルカント。「其の三」では、バリトン・ソロ、テノール・ソロと
合唱。日本的な気品ある音楽だ。「ヤァ」の掛け声もすばらしい。黛
敏郎さんが聴いたら歓喜したことだろう。

第5章「速吸(はやすい)と菟狭(うさ)」(6分)
少年少女合唱団の登場。大阪すみよし少年少女合唱団は「わらべ
歌」風の合唱、唯一、暗譜だった。

第6章「海道回顧」(6分)
この前で、若干ポーズを取った。このあたり、時間の使い方はさすが
にプロだ。
ソロは、ソプラノ、アルト、テノール、バリトンと総主演。ここへ来ても力
まない合唱がすばらしい。
それにしても信時潔は合唱の使い方が上手い(--素人の私が言う
のも変だけれど)。すぐに第7章へ。

第7章「白肩(しらかた)の津上陸」(4分)
バリトン・ソロの歌詞がよく聴き取れる。

第8章「天業恢弘(てんぎょうかいこう)」(9分)
第1章とほとんど同じだ(ブラームス『ドイツ・レクイエム』の第1曲と第
7曲!)。
合唱は繰り返される「遥かなり」の発音(発語)もまことにすばらしい。
最後は、指揮の大井さんも明らかに高揚し、演奏が終わる数秒前か
ら、客席後方から大きな拍手となった(こんな経験は初めて?大井さんも
ビックリ?)。

カーテンコールが繰り返され、ソリスト(女性ソリスト陣は、ブルー、イ
エロー、ピンクのドレス--色がよくかち合わない。)に続いて、合唱
指揮者も登場。私は盛んに合唱団にブラヴォー(ブラヴィー?)を叫
んだ(Sop.幸田さんも合唱団に盛んに拍手)。

最後に大井さんだけが登場、指揮台で構えた。
4.信時 潔 「海ゆかば」(3分)
「海ゆかば」を初めて聴いたのは、TV番組、黛さんの「題名のない音
楽会」ではなかったかしらん。KINGのCDも持っているが、生で聴く
のは初めてだ。
演奏は、1回目が合唱・管弦楽、2回目が管弦楽のみ(--スネア・
ドラムが効いていた。)、3回目の繰り返しがまた合唱・管弦楽。100
人以上の大合唱で聴く「海ゆかば」は、はたして感動的だった。

大井さんにとっても、今回は大きなステージとなった、のではないかし
らん。


ちなみに、信時潔作曲の曲は1,000曲以上と言われているが・・・・・・
昭和11年;歌曲集「沙羅」
昭和12年;「海ゆかば」
昭和15年;『海道東征』
昭和22年;「われらの日本」(新憲法施行記念国民歌)


(参考)
昭和9年(?);「日本の誇」(詩富田正文、福沢諭吉生誕100年記念)
昭和15年;慶應義塾塾歌(詩富田正文) 
(注)以前書いたかしらん、私の母は昭和16年1月の発表会を聴きに
  行った。
昭和39年;「福沢諭吉ここに在り」(詩佐藤春夫、幼稚舎創立90周年
記念)



信時潔は、シンプルといおうか虚飾を排した作風がすばらしい--
とあらためて感動である。

そこには、何回繰り返し聴いても飽きない音楽がある。




プログラム



17:32 JR大阪駅改札口 関学OBのMさんに送っていただく。


17:33 環状線へ


17:34 ここは大阪、エスカレーターは右側に。


17:37 
いろいろな行先が来るが、結局どれに乗ってもホール最寄りの福島
(福島は大阪の次)には停車するのだった。


17:38 この電車に乗る。大阪も昔よりは少し整列するようになった?


17:39 JR路線図。関西の鉄道は競争が激しい。


17:41 福島着


17:43 福島駅改札口


17:45 改札口を出て左へ


17:49 真北へ向かって 41号線なにわ筋


17:52 皆さん、行先は同じようだ。


17:53 公園を通り抜けるとザ・シンフォニーホールだ。


17:54 運転手付き?が何台も


17:55

ザ・シンフォニーホールは、昭和57(1982)年オープン。
クラシック専用ホールで、すばらしい音響(!)だ。
座席数は1,700強。


17:56 ザ・シンフォニーホール入口


17:57 産経新聞社主催


17:57 
えっ、東京でもやるの? また聴きに行きたいが、合唱はどこかしら
ん。

信時ファン、合唱ファンなら、ぜひ一度は・・・・・・。





17:58


17:58


18:01 新保祐司『海道東征への道』 約20%offにて販売中。





18:01


18:04


18:05 
いつも演奏会でお会いする音楽評論家氏が来られていた。おじぎし
そうだ(笑)。


18:05 大阪は合理的?


18:07 
コーヒーにまでプレート(お盆)付き。大阪は何事も親切丁寧だ!


18:08


18:11 10/22「美しき日本のうた」小松英典さんの演奏会


18:12 上の1階客席へ


18:12 1階客席


18:13 1階席入口


18:15 ステージがこんなに近い席

(No.1、2演奏)


19:07 休憩中 ジンジャーエール


19:10 休憩中


19:14 同上


19:14 同上

(No.3、4演奏)


20:35 終演後


20:36 同上


20:36 同上


20:37 朝比奈隆(1908-2001)


20:38 
演奏後はすごい売れ行き?昨年の大阪LIVECDも限定販売されて
いた。


20:42


20:43


20:43


20:44


20:46


20:52 夜食のおにぎりを買う。


20:54 福島駅手前 東海道本線


20:56 福島駅向こう側はホテル阪神


20:57 JR環状線福島駅改札口


21:00 福島より


21:03 大阪着


21:05 JR中央出口へ


21:05 御堂筋線へ歩く。


21:06


21:09 スープストックがあった(左側)。


21:10 御堂筋線梅田駅改札口

JRは大阪駅、地下鉄は梅田駅。


21:15 梅田より


21:22 新大阪着


21:23 御堂筋線新大阪駅改札口


21:36 シャトルバス ホテルまでは3分。


21:40 大阪ガーデンパレス着 

22時30分就寝。


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2 コメント

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一度は、 (sho)
2016-10-13 21:35:55
聴きたいですね。福島先生も合唱指導でお力を発揮したようです。倉敷時代にフォーレ・レクイエム、水のいのちを指導していただきました。
返信する
一度は、 (katsura1125)
2016-10-14 06:55:56
shoさん、ご無沙汰です。ありがとうございます。
CDも新しく出ていますが、やはり生演奏はいいですね~。一生に一度は聴いておくべきかな?
その内、そちらでもやるかしらん。
返信する

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