河村顕治研究室

健康寿命を延伸するリハビリテーション先端科学研究に取り組む研究室

臨床バイオメカ学会2日目

2008-11-15 | 研究・講演
本日は下記発表を指導している大学院生の宮地君が行った。
座長は幸いよく知っている久留米大学の志波先生であったので好意的に扱って下さった。

「筋電気刺激を利用したClosed Kinetic Chainにおける二関節筋作用の解析」
今回はCKCの状態でハムストリングを電気刺激すると膝伸展が起こることなど、比較的新しい知見を発表した。このテーマはこれからも発展させることができるおもしろいテーマだと思う。宮地君には早く論文を書いてもらわなくてはならない。

今日は午前中のシンポジウムで得ることが多かった。
『新しい可視化技法による病態の動的解析』というテーマであった。
東京慈恵会医科大学高次元医用画像工学研究所の鈴木直樹先生は「骨格並びに骨格筋の四次元的可視化手法の開発とその臨床応用」として光学式マーカーを用いずに動作解析が可能なシステムの紹介があった。後で、たまたま話を聞くことができた関係者の方によると、通常筋骨格系に詳しい専門家であれば体表を観察するだけで、見えないはずの骨格の位置が大体推定できるが、これをコンピューターにやらせるシステムだそうだ。しかし、あくまでも推定であって完全に正しい結果とは言えないようだ。このやり方はまだまだ先が長そうに思う。
一方、慶応義塾大学医学部整形外科の名倉武雄先生は「表面マーカーによるスポーツ時の膝関節運動解析」と題して、最近注目されているPoint Cluster法による膝関節運動解析の説明をして下さった。意外なことに、Point Cluster法によってもskin movementによる誤差は結構あるようで、未だに誤差のない(科学的解析に耐えうる程度の誤差範囲内という意味)動作解析というのは存在しないというのが現状みたいだ。
機器展示ではインターリハが新しい赤外線カメラの展示をしていた。1600万画素で計測周波数は2000Hzまで対応しているという。ミクロの単位で解析ができるのだとか。定価は1台が1千万円!!
いったいこんなカメラを誰が買うのであろうか。
現状ではカメラがいくら優れていてもマーカー貼り付け位置による誤差やskin movementによる誤差が話にならないほど大きいので、マーカーを用いる動作解析が続く限りはほとんど意味がない。
冗談で、
「培養神経細胞の神経突起の先に小さなマーカーを貼り付けたら、このカメラで突起の伸長の様子が解析できるかもしれませんね。」
と言ったらみんな笑っていた。
VICONもこういう現状は十分理解しているとのことで、マーカーレスのシステムの開発に積極的に取り組んでいるそうだ。
もし、マーカーレスで精度高く動作解析ができるシステムが登場したら、きっとその会社が未来のトップカンパニーになるだろう。

コメント
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