河村顕治研究室

健康寿命を延伸するリハビリテーション先端科学研究に取り組む研究室

熱中症に注意

2009-07-28 | 研究・講演
先日の岡山スポーツ医科学研究会で岡大医学部後輩の伊藤君が熱中症に関する発表を行っていた。

『推定湿球黒球温度を使った熱中症の発生状況の検討』
岡山大学大学院教育学研究科 伊藤武彦ほか

大学で学生がクラブ活動などで熱中症で倒れるのを防ごうという取り組みである。


たいてい普通の人は水分をしっかり取ってさえいれば熱中症にはならないと思っている。
帽子をかぶっていれば大丈夫とか、室内なら大丈夫とか漠然と考えている。
もっと真剣に考えている人でも、体温が熱くなってきたら要注意とか考えているくらいであろう。

しかしこれらは実態とは全く異なる。
水分を浴びるほど飲んで熱中症になることもあるし、むしろ熱中症で体温が下がることの方が多い。


参考のために私が経験したことのある熱中症の救急患者の話を書く。

その方は41歳のスポーツ愛好家で、休日に行われたバトミントン大会に参加した。
会場は大きな体育館。
時期は7月でむしむしと暑い時期。
熱中症の知識はあったので水やスポーツ飲料は多量に摂取した。

競技に熱中しているうちにふくらはぎのあたりが痙攣し始めた。
こむら返りかと思って液状の痛み止めを塗ったら軽快したので競技を続行した。

そのうち再びふくらはぎが痙攣し始め、次第に大腿から上半身へと痙攣が広がっていった。

慣れたトレーナーが会場にいて、これは熱中症だと判断して救急要請をして、救急車が来るまで熱いシャワーを全身にかけ、みんなで体をマッサージしたとのことであった。

病院に到着したとき、患者の状況は体が冷え切って手足はチアノーゼを起こしている。
しきりに寒い寒いと言う。
腿やふくらはぎが痙攣して痛いからさすってくれとしきりに訴える。
多量に発汗している。

点滴を開始したが、なかなか症状はおさまらない。
ついてきた友人全員で下肢をマッサージする。

点滴1本目が終わりかけた頃、やっと少し落ち着いてきた。


これは多量に水分を取ったために、それがあだとなり塩分やミネラルが失われて起こった熱痙攣である。
熱中症では重症になればむしろ皮膚が冷たくなる。

室内でも、水分を多量に取っていても熱中症は起こると言うことである。
コメント
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