河村顕治研究室

健康寿命を延伸するリハビリテーション先端科学研究に取り組む研究室

踵部皮膚壊死の湿潤療法1

2010-06-09 | 医学・医療
今年になって私に降りかかってきた病院での治療における課題が今回のテーマである。

患者さんは高齢の男性で車にはねられて左の踵がミンチのようになってしまっていた。
当直の外科医が救急で受けて、長時間かけてぐちゃぐちゃになった皮膚をあの手この手で元の形に縫い合わせてくれていた。
その後の処置をまかされたのである。

とりあえず、毎日バケツに水を満たして怪我をした足をつけてきれいに洗うことから治療はスタートした。



1週間ほど経つと、縫合した皮膚の一部が壊死して黒くなってきた。



毎日、足を洗いながら、週に1~2回壊死した部分をハサミで切除していった。
1ヶ月経った頃の写真が下のものであるが、結局縫い合わせた皮膚は全て壊死してしまった。



日常生活で体重がかかる踵の広範な皮膚壊死であり、このまま保存的に治療を続けるべきか、手術を検討すべきか悩んだ。
患者さん本人は手術をしなくても治るのなら時間がかかってもかまわないとおっしゃる。

私にとってもこれほど広範で深い傷の治療は初めてである。

2009年1月4日のブログに書いたが、ひょんなことから私は新しい創傷処置法である「湿潤療法」に目覚めたので、この傷も意外とうまく治るのではないかという予感があった。
http://blog.goo.ne.jp/kawamura_md/e/d8c795e873b3fb10ffd9cdd100a4afd0

そこで、患者さんの同意を得て、いけるところまで湿潤療法で頑張ってみることにした。
コメント
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