四国電力、北海道電力など4社がメガソーラーなど再生可能エネルギー事業者からの電力買取契約手続きを中断するという発表が先月30日にあった。当地、中国電力は含まれていないが、すでに九州電力が受付停止しているので、これで全国5電力となる。
僕はこの固定買取制度の矛盾と限界について何度もつぶやいてきた。火力発電所でつくる電気は1キロワット当たり10円前後が、太陽光では40円、電力会社がコストの何倍も高い価格で買うという制度が成り立たないことは誰でも想像がつく。特に日中だけの、お天道様任せの当てにならない太陽光発電が増えると電力会社の操業が非効率で不安定になるのも当たり前のこと。民主党政権の時、菅元首相が市民運動家の感性で拙速に欠陥だらけのスキームをスタートさせてしまった。だからこの買取制度の制度が遅かれ早かれ電力会社が買取を拒否する時が必ずくると危惧していた。
太陽光発電を中心に固定買取制度に基づく契約が急増したので、送電網の容量に支障が出るのも当然のこと。この制度でバカ高い買い取り価格が上乗せされた電気代を企業や国民が負担することになると、企業経営に支障がでるし、国民生活は苦しくなることが目に見えている。特に経済弱者、中小零細企業や低所得者層にしわ寄せがくる。
経産省の試算では制度認定受けたメガソーラーなどが運転をすべて開始したら電気料金に上乗せされる賦課金が2014年度の4倍超にあたる2兆7千億円になると公表した。毎月の電気料金の上乗せ額が2012年度対比で20倍だ。電力会社の送電網の再構築費用まで電気代にオンされたら、国内での事業活動は成り立たなくなる。再生可能エネルギーの導入の拡大に反対はしないけど、早い段階で国民負担、企業負担の適正化がバランスした制度への変更が求められる。
原子力発電がゼロになり、天然ガスなど追加的燃料費が毎年3.6兆円も増えている今、2001年につくられたエネルギー基本法も論じられなければいけない。原発再稼働問題も含めて、無資源国日本のおける電源のベストミックスの国民的な議論が必要だ。現実の姿はエネルギー政策の目標である「経済性」「安定供給」「環境への対応」の三つすべてに反しているのだから。