風になれ

大自然のふところで山歩きを楽しむ生活。
いつの日にか、森にそよぐ風になれたら・・

ノーベル受賞者の功名心

2014-10-18 | Weblog

 金曜日の夜、カミさんと近所の居酒屋に行く。もともと僕もカミさんも口数が少ないけど、居酒屋にいくと心なしか少しだけ会話が増える気がする。
 話題は子供のことが多い。カミさんの話に耳を傾けながら静かに呑む。夫婦も何十年と年輪を重ねると会話よりもそばにいる空気感だけで十分。酒がすすむ。


 今年、ノーベル物理学賞が青色LED開発者の赤崎勇、天野浩、中村修二の3氏に授与された。窒化ガリウムを青色発光材料とした基礎研究に赤崎・天野両氏が取り組み、15年遅れて中村氏が研究を開始。中村氏は結晶薄膜の製造装置を改造し、高品質の結晶薄膜の生成に成功し、青色LEDの大量生産、商品化につなげた功績だとか。 日本国民にとっても名誉なことだ。
 中村氏は日亞化学工業に対して発明対価に関する訴訟を起こして8億5千万円で和解した。企業内発明は会社の手厚い庇護と物心両面の支援があってこそであって、自分一人で世界一の膜を作り出したのだから対価をよこせというのは日本人の倫理観、道徳観、雇用の風土に合わない気がする。研究という好きなことをして給料がもらえるポジションを与えられていた会社や社長や同僚の恩を仇で返したような気すらしたものだ。会社は賭けのような心細い思いで研究成果を期待しながら気長に結果を待ち続けたはずだから。それが空振りを続けながら偶然、運よくホームランを打ってしまったから訴訟騒動になったようなもの。
 本質的な部分の研究も商品化する研究も重要だとは思うけど、研究の原動力はanger(怒り)だと会見で述べられた一言と俺が俺がの手柄を主張する科学者の功名心が鼻について素直に喜べなかった。