
日曜日の朝7:00、倉敷市児島から塩飽本島に向けて出航した。穏やかな瀬戸内の海はまだ眠っているみたいに静かだった。

本島港に上陸してレンタサイクルを借りて時計回りに島を一周することにした。
周囲16kmの小さな島の海岸線を朝の空気をいっぱい吸いながらペダルを漕ぐ。生ノ浜、尻浜、大浦港を通過して笠島地区に入る。

笠島の町並みは国指定の伝統的建造物群保存地区となっていて、民家の建物が美しい。塩飽本島は塩飽水軍の本拠地で造船技術が発展した。塩飽水夫の一部が船大工の知識と技術を引き継いで塩飽大工(大工集団)を形成して全国に散らばった歴史がある。
塩飽大工の一部は宮大工として多くの匠を輩出した。塩飽大工の大江家は国宝吉備津神社の建立に関わっているし、その他にも吉備津神社(岡山市)や備中国分寺五重塔(総社市)などの築造に塩飽大工は深く関わっている。

笠島まち並保存センターになっている真木邸を見学した後、今夏から公開を始めた築百年の吉田邸を訪れて、家の中を案内してもらった。梁、天井、床など随所に塩飽大工の技が光っている。塩飽大工の誇りと圧倒されそうな息づかいが感じられる。丁寧ないい仕事をしているなあと素人ながら感心する。このような気高い手仕事ができる時代はこれから先、二度とやってこないのかもしれない。
本島港に戻り、帰りは六口島に立ち寄る。六口荘でお昼ご飯を食べてから児島に戻った。
瀬戸内海の風景と潮風に心が癒されて、いい気分転換ができた。
