1週間ほど前になるか、青葉の森を歩いた時、あのオスの美しいオレンジ色の姿をちらりと目にし、夏鳥のキビタキがすでにやって来ていることに気づいた。
4月終わりの日、青葉の森に入ると、そのキビタキ君のさえずりをあちことで耳にした。何度も立ち止まってはその姿をとらえようと試みたがかなわなかった。
オオルリくんやサンコウチョウくんたちもまもなくやってくるだろう。
青葉の森は、もう初夏の季節といっていい。低木といい、中高木といい、あらゆる広葉樹がうつくしい若葉を展開し、その多くが白い花を咲かせている。ツツジやヤマブキといった低木の仲間は朱や黄といった鮮やかな色彩をみせているのだが、今の季節、ウワズミザクラ、ガマズミ、アオダモ、オトコヨウゾメなど樹々の白い花々が目立つ。「白」は単調なようで、よく目を凝らすと花の形といい色合いといい美しいと感じる。また、地上には白く小さなニョイスミレや名を特定できない白スミレや白いギンランも花を開いていたし、スジグロシロチョウらのシロチョウの仲間も季節を謳歌した。いまの青葉の森の主役は「若葉色」、準主役は「白色」と言ってもいい。
そんなことを考えながら鈎取地区の西側の森をこの時季に歩くと、明らかにキビタキやオオルリとは異なる高らかな美しい声を耳にする。かなりの音量の歌い手で、「言葉の数?」も多種多様であるので、あの少し迷惑な「ガビチョウ」かなとも思ってしまうが、明らかにちがう。なんだか、あのツグミの仲間の「アカハラ」の声を耳にしたときのような郷愁を感じさせてくれる歌声なのだ。
「キョン・キョン・キョロリ~ キョロキョロリ~・・」と歌っているのはだれなんだ。
アタリはつけていたが、家に帰っていろいろな音源をたしかめて、きっと同じツグミの仲間の夏鳥「クロツグミ」の歌声だと確信する。図鑑にもあるとおり、「ほかの鳥の鳴きまねも取り入れた複雑な歌を長くさえずりる。」と、まこと複雑な音源の持ち主なのだ。
一度だけ、この森であの黒い姿で飛び去る姿を見かけたことがあるが、まだ枝にとまってのさえずりを目にしていない。昨日も何度も立ち止まっては音のする方に目を凝らしたのだがとうとう姿をみせてくれなかった。何とももどかしい。
この森に長くいてくれるのか、それても旅の途中なのか、この森でさえずっている間に何とか逢いたいものだ。♂は黒い羽色に黄色いくちばしと愛らしい黄色のアイリング。ああ逢いたいな。
GWにかかわらず、少し頻繁に通ってみよう。
青葉の森の白色の仲間たち(2024.4.30)
ニョイスミレさん
マルバアオダモさん
ウワミズザクラさん
コバノガマズミさん
ガマズミさん (ミヤマガマズミかも)
スジグロシロチョウさん♀
スジグロシロチョウさん♀
ギンランのなかま
オトコヨウゾメさん
紫条がないので同定しにくいシロスミレさん