かぜねこ花鳥風月館

出会いの花鳥風月を心の中にとじこめる日記

トレイルランナーの死

2017-11-20 06:06:57 | 日記

2017年11月18日土曜日に開催されていたFun Trails。

50k部門に参加していたオイラは、混雑による30分の繰り下げスタート午前7時30分から6時間45分後、の午後2時15分、31.2kの高山不動尊のエイドで、大会中止を告げられた。

来月の伊豆トレイルの予行演習をかねて参加ていたものだが、やはり左ひざの調子は余りよくなく、かばっていたのか、走行時の左足の上げ方が足りなかったものと思われ、前半なんでもないところで根っこに足をとられて2度ほど転倒した。1度は、前方に1回転したが、受身の姿勢がよく、さすがネコ科と自賛した。

次第に痛み出したので、早めにロキソニン1錠とペットボトルに移し変えていたモンスターホワイトをぐび飲みしたが、それが奏功したものか、次第に苦痛は「身体が大自然の中でいじめられている。」という快感に変わり、ゆっくりとではあるが、平地と下りは小走りし、登りは、膝に手のひらを当てながら喘いで、コースを楽しんでいた。

予報は、低温で、昼前から雨であったが、奇跡的に一粒の水滴も降りてこず、風もそよともせず、ウインドヤッケを脱いでの運動は、下りに走るとやや冷え、のぼりに喘ぐとやや暖か、と総合的には「丁度よい」経過をたどり、高山不動の関門1時間15分前での到着であるから、あと20k、20時ごろまではゴールできるものと確信し、高山不動の急峻な階段を鎖につかまりながら登って、思わず手袋をしてであるが、2度手を鳴らした。(不動尊ですから、寺院なのに。)

大会中止の理由については、スタッフから詳しく告げられなかったが、彼らの立ち話を総合すると、100kの部に参加していたランナーが、武甲山のお隣の小持山付近で滑落し、ヘリコプターにより救助されていったようだ。大会本部が、即時に大会中止を決定したと思われ、そのランナーの状態が「重篤」であることが容易に想像できた。

完走を確信していた、Fun Trailsはそこで終わった。エイドにいた200人ぐらいのランナーは、皆オイラとおなじ、虚無と失望を感じていたと思うが、救助されたランナーの「重篤」な状況を思うに、誰一人不平を言うでもなく、午後3時過ぎにスタッフの先導で夕闇の西武秩父線西吾野駅に向かって静かに4kの山道を下った。

秩父の街で、知り合いのM君と居酒屋で打ち上げをしているときに、M君が検索したニュースで、「重篤」なランナーが亡くなったことを知った。秩父市浦山とだけ記されていたので、場所が小持山とは特定できなかったが、東京都の会社員(54歳)が午前9時過ぎに100メートル岩から滑落し、11時前に救助され、2時間後収容された病院で死亡が確認されたととのこと。(合掌)

翌朝、秩父からの帰りの電車内で、大会本部からの詳しい報告(FACE BOOK)で、ことのありようを確認した。

FunTrails100K Round 秩父&奥武蔵/FunTrails 50K Two lakes&Greenline

100メートルの滑落が頭部に致命傷を与えたと思われ、本人は、気を失っての苦しまない旅立ちであったと願うところだが、家族や親しかった人々にはお悔やみ申し上げる。

人間いたるところ青山あり(じんかんいたるところにせいざんあり)。

青山とは、墓所のことだそうだが、オイラは死に場所は、青い森の中がいいなと夢見ている。この世はあるけど、あの世はないと確信している。だから、浄土経やキリスト教よりは、修験道の山駆や禅の瞑想という手法(生き方)により、命あるところで仏を目指す世界観のほうに親近をもつ。

今を、どうやって充実した楽しいものにしていくか。

「そんな危険な大会おやめなさい」。事故ある度に、大会運営や参加者に批判の目が向けられのが常だが、青い森に包まれて、昼夜を問わない「今」をたどるトレイルランというスポーツは、かけがえのない宝物を与えてくれていると確信している。

アラカンを過ぎたオイラは、1,2年でこの世界は卒業するが、その先も森の旅は続いていくのだ。

あしたは、STYの抽選発表。Mくんの情報によると、昨年スタート直後に大雨で中止になったことから、昨年参加者を優先させるのではないかとのこと。ますます、当選確率は低くなりそうだが、Fun Trailsに来年も参加して、あと、1,2回その先のSTYをめざしてもいいとも思えてきた。どんより曇りの1日だったが、いいコースだった。

 


大会の中止は、この高山不動尊の辛い階段を登った先で告げられた。この古刹は真言宗で山名は「常楽院」というのだそうだ。苦しみの修業は、常に楽しいということか。そのような階段ではあった。

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