土用は立秋前の18,19日間。8月6日頃までです。あと8日。土用も半ば過ぎると、夜はもう秋かと思わせる涼しい風が立つこともあり、こらが「夜の秋」です。「夜の秋」も「秋の夜」も同じではないかと思うが、ちょっと意味が違います。「秋の夜」は言葉の通りで、「秋の夜半」ともいいます。これに対して「夜の秋」はまだ夏なのだけども、夜は秋の気配が漂うことをいうのです。つまり、「夏の夜の秋」。歳時記では「秋の夜」は秋の季語ですが、「夜の秋」は夏の季語です。「夏と秋行きかふ空のかよひち”は かたへすずしき風や吹くらむ」凡 河内躬恒」「古今和歌集」夏の歌。この季節の表舞台を眺めるだけでなく、舞台裏へも想像力をめぐらせる。この季節の奥を「探る」という想像力こそ、日本人の繊細な季節感を培ってきた原動力なのです。「水無月のなごしの祓いする人は 千とせの命延ぶといふなり」『拾遺和歌集』より。とは言え凡人の吾は暑さに耐えられず、近代科学の武器『空調機』に頼る昨日今日です。(ケイスケの秋の夜)