トロロアオイ(アオイ科)花言葉は、知られざる恋。単に「葵」というと古くは「冬葵」を、現代は花の美しい「立葵」を指す。立葵は茎が直立し、高さ2m。葉は互生し、浅く裂ける心臓形え。梅雨が始まる頃に長い花穂を立て、径6~7㎝の大輪五弁花が下から順に咲き上がり、梅雨明ける頃に咲き終わる。花色は赤や桃、黄、白、橙など。八重咲もある。小アジア原産で、中国を経由して古くに渡来。中国名「蜀葵」の名で「枕草子」に記載がある。冬葵は平安時代に薬草として植えられたが、現在は一部の地方で野生化する程度。6~7月に淡紅色の小さな花花をつける。ほかにも「銭葵」は草丈1m、7~9月に赤系の大輪の五弁花を葉のわきにつける。地中海沿岸原産の一年草。いずれもアオイ科の植物で、庭などに植えられる。「葵」の文字が入る植物は多く,ウマノスズクサ科にも徳川幕府の紋所に使われた「二葉葵」がある。◎葵というと紋所のイメージが強いが、アオイ科の植物を指すので注意したい。立葵や銭葵など、多くは庶民的な花として描かれ、句には自然体の優しさがある。象徴的な季語として使ってもよいだろう。「酔眼に葵こぼるゝ匂いかな 去来」「明星に影立ちすくむ葵かな 一 茶」「白葵大雨に咲きそめにけり 前田普羅」「花葵西日さし抜け一軒屋 星野立子」「かおまみし人の廊や花葵 中村汀女」「咲きのぼる葵は花の向き決めず 上村占魚」「峡深し墓を彩る立葵 沢木欣一}「被爆地の夜の影つくる立葵 吉田鴻司」「被爆地の夜の影つくる立葵 吉田鴻司」「葵咲く水引茶碗にえくぼ生まれまれ 神蔵 器」「銭葵どこの窓にも老婆ゐて 有馬朗人」「葵咲く餓ゑし乙女の日の遠き 舘岡沙織」「立葵刃物研ぐ水吸いつくす 宇多喜代子」「立葵今消えし星ありと思ふ 今井 聖」「立葵鳥屋に没日の差しこみし 長岡はな}。(海山の葵の寺の立葵 ケイスケ)