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一人一台、デジタルピアノがある教室で。
「じゃ、ここのGm7→C7のツーファイブ、転回形で押さえてみよっか。せーの」
じゃーーーん。・・・ぼよーーん。
ん?ぼよーん?
誰かいるな
。
「はいはいー。ちょっと間違ってる人いるねー。じゃ、手はそのまま鍵盤に置いといて。今、見て周るから」
「どうですか?」と、誇らしげに手元を見せつけるようにするのは、自信のある子。
まだ、手に馴染んでないこともあって、なんとなーく弱々しい手つきで鍵盤を探って、「あってます・・・?」と、僕の顔を覗き上げる子。
人それぞれ、ペースというのもありますしね。
ましてや、ギターやベース、ドラムのがくせーさんにピアノやコード理論を教えている授業でのこと、
自分の楽器じゃないわけですし、未体験の子も沢山。
挫折しちゃう子もいるにはいますが、
それでも、思ったよりも沢山のみんなが、しっかり着いてきてくれてて、
・・・せんせーは嬉しいのだよ
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。
まあ、教室ではそんなことはあまり言わないんですけどね(笑)。
勿論、褒める時は褒めますよ。まずはちゃんと出席。そして、集中。
僕は、私語とかには、けっこう厳しかったりするのです。
そういう子には、いきなり「はい、じゃあこのドミナントのAセブンスに、フラット・ナインス足したの、弾いてみて!」
と、遠くから当てちゃう(笑)。
でもね、今やらなかったら、チャンスを逃しちゃうかもしれませんから。
やっぱり、しっかり、頑張って欲しいのですよ。
今日の、とある女子のがくせーさんん。
僕が彼女の手元を見て、
「あ、それ、違うよ
」
と指摘すると、
「えっ!?」
と驚いて、バッグを持ち上げ、取り出したのが、
・・・僕の緑ちゃん。
こちらでは、別段、がくせーさんに教科書として買わせたりなんてことは一切しておりませんのです。
彼女も、先々週、「せんせーの本、買いました!」と言ってくれたので、サインをしてあげたのですよ。
とっても喜んでくれてね。
でも、それよりも嬉しかったのが、
ちゃんと持ち歩いて、授業中に開いてくれたこと。
「一番後ろの方に載ってるよ。確認してねー」
と教えてあげましたが、
もう、僕の目は涙で滲んで、思わず教室でつんのめりにコケそうになっ‥
‥たりはしてませんが
(笑)、
でも、
役にたつことができる、できてる、
ってことが一番嬉しい
。
今日は別な授業の後にも男子がくせーさんに「先日のコード進行、曲にしたので、アドバイスをいただけませんか?」とデモを聴かせてもらって、ついつい時間をオーバーしてながらく話こんでしまったり、
また、別なカリキュラムの授業の後にも、
「先生の本を読んで、触発されてデモ曲を作ったので、是非、聴いて欲しいんです」と、
他の学科からわざわざ(僕の教え子ではなく、ましては音楽科でもなく、コンピューター・プログラミングを専門に勉強している科の学生さんだとのこと)来てくれて、
聴かせてもらった曲の素晴らしかったこと
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。
あまりに素晴らしいので、本当に感心して、うなってしまい、
「これ、ちゃんと曲としてなんらかの形で発表できるように、頑張ってごらんよ。いけるかもよ。」
といってあげると、
「うわ!本当ですか!?なんか、自信が沸いてきました!」
って、とっても喜んでくれて。
目の色が変るのが、わかるんですよね。
これまた、とっても嬉しい、瞬間。嬉しい、出会い。
緑ちゃん。
二年前の今頃、本当に死にそうになりながら(←あの時期のことは、今思い出しても、ゾクゾクします(笑))、書いてました。
本当に大変だったことは間違いないのですが(←何がそんなにだったのか、っていうお話は、・・・まだ書いてませんのですよね。また、本当にいつか、書ける時が来たら、書きましょう(笑))、
ともかく、思いがけず、嬉しい思いをさせてくれることが、今でもあるのです。
一月ほど前、現在、理論本を執筆中という、87歳の現役のプロジャズ・ピアニストさんから、編集部経由で、丁寧な直筆のお手紙を頂戴しました。
中には、こうありました。
「貴殿の本を拝読し、執筆中の本、最初から書き直すことに決めました。私は、こういう本を書きたかったのです。ありがとうございました。」
というものでした。
緑ちゃん。
・・・なにが“できる”、って、
僕にとって、こうやって新しい出会いを作ってくれることが“できる”本でもあったことに、心の底から、感謝です。
発売から650日を過ぎて、まだアマゾンさんのランキングにも、ちょいちょい載せていただいているようです。
つまり、細々であっても、まだどこかで、新たな出会いの種に、
・・・いや、緑色の若葉に、なってくれているのだと思うと、ワクワクするのです。
関わってくださった多くの方に、そして、手に取ってくださった全ての方に、本当に、本当にありがとう・・・です
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。
書いて、本当によかったです
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。
明日は安全地帯さんで、江戸川の日であります。
江戸川‥、江戸の川。
とっても、いい響きですね。
きっとまた、素晴らしい良き日となる事でしょう。
どうぞよろしくお願いいたします。
ではー。