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意外に思われるかもしれませんが、僕たちは、意外に他の楽器パートのスペースには入らないものです。
必要があって近くを横切ることはあっても、しょっちゅう、うろうろしていそうな僕ですら(笑)、あまり行かないのです。
なんでしょうね、なんとなく、テリトリー感があるというか、自分の立ち位置以外は、そこから見える景色含め、落ち着かないというか。
勿論、万が一、そこにある楽器や機材に触れて、壊したりしたら大変ですものね。
プロの世界だからこそ、あまり他のパートの楽器には近づかないものなのです。
逆に、だからこそ、誰かが僕のセットに入ってきてくれると、嬉しい気持ちもするものなのです。
閑散としたお店で、
「あ、お客さんだ!ようこそ!」
みたいな(笑)。
ましては、ピアノやオルガンなんかを、ちょっと触って「へー、こんな感じなんだね」なんて言ってもらえると、なんだか、可愛い我が子の頭でも撫でてもらったかのように、つい、ニヤニヤしちゃうんです。
昨年の、あるリハーサルの日の事でした。
めずらしい方が、僕のセットのそばにおり、なんとはなしに、僕の楽器を見ていました。
そして、ちょっと遠くから覗き込むように見て、
「これって、『モーグ』っていうんだよね?」
というのです。
「はい!『モーグ』です。これは『ミニモーグ』っていう機種なのですが、でもモーグって、なかなか日本では言う人がいなくて、皆さん『ムーグ』って言っちゃうんですよね」
「そうなんだ?」
「はい、これが発売された当初、ヤマハが輸入代理店だった頃ですが、『MINI MOOG』の読み方が分からなくて、説明書やカタログに「ミニムーグ」って書いちゃったんです。それがそのまま発売され、当然「ミニムーグ」として、雑誌でも紹介されましたから、当然、そう呼ぶことになったんです。僕も、ずっとミニムーグって言ってました(笑)。」
「へー。でも本当は『モーグ』なんでしょ?」
「そうなんですよね。開発者のモーグ博士が来日して、私の名前は「ロバート・モーグだ。だから、これはモーグであって、これからムーグと呼んだ奴は友達じゃない(笑)」って仰られて」
「なるほどね。それで『モーグ』が正しいってなったんだ」
「そうなんですよねー」
と、ひとしきり説明してしまい(笑)。
「ケンは、この音、好きなんでしょ?」
「はい、大好きです。」
すると、ニコッと笑って、
「おれも、好き。」
「よかったら、どうぞ。音、でますから」
「えー、そう?おれ、鍵盤は全然」
「どうぞどうぞ、せっかくですから」
というと、鍵盤に指を落として、ぱらぱらっと弾かれました。
すると、スタジオの中にいた全員が、
「おーっ」
と。
それはそうですよね、
だって、
玉置さんがミニモーグを弾いてる姿なんて、だれも見た事も無いのですから
。
ミニモグも、ちゃんと素晴らしい音で、応えてましたよ。
「いいねえ」
って、仰ってましたから![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_warai.gif)
。
ではー。