く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<ヒトツバタゴ> 「雪の花」―まるで雪が降り積もったように木全体が真っ白に

2012年05月08日 | 花の四季

【通称「ナンジャモンジャ」とも、希少種で国は絶滅危惧種に指定】

 モクセイ科の落葉高木で、属名は「Chionanthus」(雪の花)。その名が示すように、4月下旬から5月にかけて雪が降り積もったように木全体に純白の花を付ける。その珍しい姿形から「あれは何者だ」を意味する「ナンジャモンジャ」と呼ばれることも多い。成長すると高さは20mにもなる。花びらはユニークなプロペラ形で、散る時には竹とんぼのようにクルクル舞い落ちる。

 名前の「ヒトツバ」は一つ葉、「タゴ」はトネリコの別名。トネリコに似ているが、葉が複葉でなく単葉(一葉)なのでこの名が付いたという。国内の自生地は岐阜県の東濃地方から愛知県にかけての木曽川沿いや長崎県対馬市の鰐浦地区などに限られている。いずれも国指定の天然記念物だ。環境省は絶滅の危険が増しているとして、ヒトツバタゴをレッドリストの中で「絶滅危惧Ⅱ類」に分類している。海外では朝鮮半島、台湾、中国南部などに分布する。

 最近では街路樹や公園などに植樹されることが増えてきた。街路樹として国内最大規模なのが北九州市戸畑区の「なんじゃもんじゃ通り」。ハナショウブで有名な夜宮公園西側に、沿道約500mにわたって100本を超えるヒトツバタゴが植えられている。花の盛りの時期には毎年「なんじゃもんじゃ祭り」まで開く。今年は4月30日に13回目の祭りがにぎやかに繰り広げられた。東京・小金井市にも通称「ナンジャモンジャ通り」がある。明治神宮外苑のヒトツバタゴも有名。大阪市内では大阪城天守閣広場、長居公園(写真、2010年5月8日撮影)、肥後橋郵便局前(西区)などで見ることができる。

 「ナンジャモンジャ」はヒトツバタゴを指すことが多いが、地方によっては御神木や正体不明の巨木などをそう呼ぶ。例えば、神奈川県逗子市・神武寺のホルトノキや、千葉県神崎町・神崎神社のクスノキ、静岡県三島市・三島神社のカゴノキなどは、いずれも「ナンジャモンジャ」と呼ばれ大切に保護されてきた。「ナンジャモンジャ」の由来には水戸黄門(光圀)が家臣に木の名前を尋ねたところ、家臣が返答に窮し、その言葉を聞き違えた――など諸説がある。「ナンジャモンジャ」ではなく「アンニャモンニャ」と呼ぶ地域もあるそうだ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする