【米国への桜プレゼントの返礼 100年前ハナミズキと共に日本へ】
100年前の1915年(大正4年)、日本が贈った桜のお返しとして米国からハナミズキなどと共に日本にやって来た。北米東部原産のツツジ科の常緑低木で、コネチカット州やペンシルベニア州では「州花」にもなっている。原産地では8mにも達する大木もあるそうだが、日本ではせいぜい2mが限界という。我が家のカルミアも地植えして10年以上たつが、生育環境が合わないのか、ようやく80cmに届いた程度。
「アメリカシャクナゲ」の別名を持つが、花の形は日本のシャクナゲとは全く違って幾何学的なユニークな形。星形の蕾はまるで金平糖。それが開くと今度はおしゃれなパラソルがパッと開いた感じ。そのため「ハナガサシャクナゲ」という呼び名も。花はかわいいが、長い楕円形の葉にはアンドロメドトキシンという有毒成分が含まれているそうだ。
米国ではカルミアのことを「スプーンの木」とも呼ぶ。アメリカ先住民がカルミアの根をスプーンの材料に使っていたためという。日本に入って100年になるが、本格的に輸入され始めたのは終戦後。今では「ラティフォリア」「オスボレッド」「レッドクラウン」などさまざまな園芸品種が出回っており、花の色もピンクのほか白や濃紅色などもある。
「カルミア」の名前はフィンランド生まれの植物学者ペール・カルム(1715~79年)にちなむ。カルムはリンネの弟子で、北米を探検した時に収集しヨーロッパに持ち帰った大量の植物標本や種子の中にカルミアも含まれていた。母国フィンランドは昨年、カルムの功績をたたえ10ユーロの記念銀貨を発行した。コインの表には「カルミア・ラティフォリア」の花が刻まれている。