く~にゃん雑記帳

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<飛騨千光寺住職・大下大圓師> 「執着せず手放す勇気を! 心と身辺の棚卸しが大切」

2012年11月08日 | メモ

【南都二六会・仏教セミナー「いさぎよく生きる 仏教的シンプルライフ」】

 奈良の中堅寺院でつくる南都二六会(岡崎良昭会長)主催の「いのちのおしえ」仏教セミナーが7日、奈良市のならまちセンターで開かれた。講師は飛騨千光寺(岐阜県高山市)住職の大下大圓師(写真㊧)。「いさぎよく生きる 仏教的シンプルライフ」と題して講演した大下師は「人生の物語は書き換えられる。一度、心と身辺の棚卸しをして、思い切って整理し手放すことが大切。いさぎよく生きるとは『いい(↗)加減』ではなく『いい(↘)加減』に偏らない心で生きること」と話した。

 

 大下師は1954年生まれで高野山大学卒業。学問仏教ではない「実践仏教」「生きるための仏教」を提唱し、飛騨を拠点にいのちの研修や臨床スピリチュアルケアとネットワーク活動の普及に努めている。NPO法人日本ホスピス在宅ケア研究会理事。京都大学大学院で瞑想療法をケアプログラムとして開発実践中。東日本大震災以降、東北を延べ20回訪れ、お経を上げる傍ら、被災者への足湯や一緒にお茶を飲む「おちゃっこの会」などのケア活動に取り組んできた。音楽療法士の資格も持つ。

 大下師は「長生きするには自分を大事にして他者も大切にする心『自利利他』が大切」と指摘する。「早くがんになって死にたい人は毎日人の悪口を言う、怒りを表す、愚痴を言うこと。周りの人とうまくコミュニケーションし、笑うことで免疫力が高まる。怒りは3万個のがん細胞を発生させるが、笑いは5万個のがん細胞をやっつける」

 人生のしまい方については「過去は変えられないが、手放すことはできる。執着せずに思い切って整理し手放す勇気を出すこと」。大下師はそれを〝身辺の棚卸し〟と呼ぶ。まず自分の余生(この世での予想滞在年数)を考える。次に残された年数で本当に何がしたいか、どうしてもやっておかなければならない仕事や趣味は何かを考える。居住空間でどうしても必要なものを選ぶ。それらを仕事用、私生活用、家庭用などに分類したリストを作り、それ以外は整理し手放す。「人生は長さではなく、どのように生きようとしたかの質が問われる」とも話す。

 ものの見方は「ネガティブに考えるかポジティブに考えるかで全然違ってくる。人生の物語は自分で書き換えることができる」。例えば嫌な人などとの人間関係に苦しんでいる人は「あの人は私を成長してくれる人」と物語を書き換える。「私はどうしてこんなに不幸なのか」と悩んでいる人は「苦しみは自分の魂の成長につながるのだ」と見方を変える。

 大下師は瞑想の効用も説く。「瞑想はストレスの解消、免疫力アップなど心身の改善、そして思慮深い人間形成につながる。最近は宗教ではなく、健康の手段として注目され、特に米国では予防医学の観点から大変盛ん」。瞑想といっても座禅を組まなくても毎日5分間で十分という。大下師は昨年「国民総幸福」を国是に掲げるブータンを訪ねたが、学校では授業の前に必ず瞑想をしていたそうだ。ブータンの国民1人ひとりが自信と誇りを持っているのも印象に残ったという。

 ある新聞の調査によると、死に対して恐怖の有無を聞いたところ「怖い」が55%、「怖くない」が35%だった。過半数の人が恐怖心を持つ。大下師はそれを克服するには「死後の生命の永世を信じること、あるいは天や宇宙など永遠の生命に融合することなど、自分なりの死生観を持つことが大切」という。この日のセミナーでは大下師の講演に続き、第2部では岡崎会長らも加わって僧侶4師によるシンポジウムも開かれた。

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