【カタバミ属の観賞用園芸品種、太陽が出ると開花】
カタバミ科カタバミ属の園芸品種をまとめてオキザリスと呼び、世界で800種を超える。オキザリス(Oxalis)はギリシャ語で「酸性」「酸味」を意味するオクシス(oxys)に由来し、葉や茎に蓚酸(しゅうさん)を含む。オキザリスやカタバミの葉で10円銅貨をこすると黒ずみが取れてピカピカに。蓚酸はカタバミ科のほかタデ科のスイバ、イタドリ、ギシギシなどにも含まれる。
花の色はピンク、赤、白、黄、紫と多彩。花の大きさや花期もバラエティーに富む。日本で流通するオキザリスには南アフリカのケープ地方原産のものが多い。「ハナカタバミ」とも呼ばれる大きなピンク花の「ボーウィー」をはじめ、小花の「マルチアーナ」、黄花の「セルヌア」、秋~冬に咲く「ヒルタ」「ハリアビリス」など。このほかにブラジル原産「ブラジリエンシス」やチリ原産の黄花「ロバータ」、メキシコ原産で四つ葉のクローバー型の「ディッペイ」など。
日本のカタバミは別名「ゼニミガキ」のほか「カガミグサ(鏡草)」「スイモノグサ」「ショッパグサ」などとも呼ばれる。「カガミグサ」は昔、女性がカタバミの葉をすりつぶして鏡を磨いたため。カタバミ属の植物は光に敏感で、太陽に向かって花を咲かせ、夜間や雨天・曇天時には閉じる。ギリシャ伝説の中にも太陽神アポロンが愛した花としてオキザリスにまつわる言い伝えがあるそうだ。
カタバミは繁殖力が旺盛で、種を弾き飛ばして路地や田畑などに群生する。その生命力と整った葉形からカタバミを家紋に定めた戦国大名や武将も多い。「片喰紋」「酸漿草紋」(かたばみもん)は日本十大紋の1つともいわれる。長宗我部家は「七つ酸漿草(ななつかたばみ)」、宇喜多直家は「剣片喰」を家紋とした。このほかにも「菱に片喰」「丸に片喰」「四つ片喰」などさまざまな形がある。