【住民らの美化活動の一環、通りが癒しの空間に】
久しぶりの沖縄旅行。早朝、那覇市の宿泊先のホテルから海岸の若狭海浜公園に向かって散歩していると、街路樹の幹になんとランの花が! ミズゴケを詰めた黒い網目の袋からランの根が伸びて、赤や白などの美しい花を付けていた。初めて見る光景。近隣にお住まいの方々が通りの美化活動の一環としてランの着生に取り組んでいるらしい。1本の幹に数種類のランが張り付いた街路樹も。さすが亜熱帯気候の沖縄!
場所は「ソルヴィータホテル那覇」から北西に伸びる通りで、市立若狭小学校の前まで二、三十本の街路樹に目の高さでランが取り付けられていた。コチョウラン(胡蝶蘭)が多いようだが、カトレアのような花も。港には巨大な観光クルーズ船が停泊。「海の上ビーチ」では早朝にもかかわらず観光客らしき男女十人ほどが水着姿で水とたわむれていた。その帰途「対馬丸記念館」に至る緑地の前の街路樹にもランの花が咲いていた。
沖縄県のホームページ「おきなわ緑と花のひろば」を開くと、「首里金城町の蘭通り(ダム通り)」が「花と緑の名所100選」の1つとして挙げられていた。首里城の西方に位置し、地元の「金城ダム通り会」が那覇市と道路ボランティア協定を結び、「クロキ(黒木)」という街路樹約200本にランを着生させているという。100選に認定されたのは昨年3月。ランの着生活動によって、通りに癒しの空間が生まれただけでなく、ごみが少なくなり、挨拶をよく交わすようにもなったといった効果も出ているそうだ。
街路樹に取り付けるランは土に根を下ろす〝地生ラン〟ではなくて、樹木の幹や岩の上に根を張り付かせる〝着生ラン〟。金城町の蘭通りではコチョウランやデンファレ、オンシジューム、カトレアなどが通りに彩りを添えているという。着生ランは根で吸収した水と葉から取り入れた二酸化炭素で光合成を行う。網目の袋から街路樹の幹に根を四方八方伸ばす様に、着生ランの力強い生命力を見る思いがした。