【桜林や針葉樹林などを囲む立ち入り禁止の黄色いテープ】
日本列島を縦断し大きな爪痕を残した先の台風21号。ニュースで京都府立植物園も大きな被害を受けたと知ってはいたが、暴風直撃から9日目の1日訪れて改めて被害の甚大さにショックを受けた。園内には桜林や針葉樹林などを中心に多くの場所に立ち入り禁止のテープが張り巡らされ、観覧温室内の一部でもなお立ち入り規制が続いていた。
園内で大きな樹木が相次いで倒壊したのは台風が近畿地方に再接近した10月22日夜半から23日未明にかけて。巨大なヒマラヤ杉が倒れたのをはじめ、高さ20mのレバノン杉も近くの東屋に倒れ掛かり、桜林でも樹齢約70年のソメイヨシノなど約20本が地面から根元が浮き上がるなど、約100本の大木が大きな被害を受けた。同園では26日まで4日間臨時休園し、27日から再開園していた。
そのため、倒木などの処理もてっきり一段落したものと思っていたが、園内の光景は以前とは全く異なっていた。この日は正門から入ってまず観覧温室に直行した。ところが、いつもはぐるっと回遊できるはずなのに途中のジャングル室の一部が閉鎖されておりUターン。温室を出て桜林に差し掛かると、桜の大木が何本も横倒しになったまま。さらに針葉樹林内でも根こそぎ倒れたり大きな幹が途中で折れたり、無残な姿をさらしていた。園内では倒木の幹を切るチェーンソーの音が響きわたり、枝や葉を運ぶ車も行き交って、懸命な復旧作業が続けられていた。
園内ではちょうど秋の風物詩、菊花展が開催中。来場者は見事な懸崖づくりなどに見入っていたが、一方で茫然と倒木を見つめたり処理作業を見守ったりする人たちも多かった。北山門の出入り口に、立ち入り禁止地域を赤く囲んだ園内の図面が掲げられていた。再開園して1週間近くたつが、それを見る限り、まだ全体のざっと3分の1ほどが赤く囲まれているようだった。