【暖地の海岸に自生、花期は5~11月】
タデ科イヌタデ属の蔓性多年草。日本から朝鮮半島、中国、フィリピン、ベトナム、インドネシアなど東南アジアにかけて広く分布する。国内の自生地は伊豆半島、紀伊半島、四国、九州の南部、沖縄などで、海浜や海岸近くの林縁などに群生する。
茎はよく分枝し地を這って長く伸び、茎先の円錐花序に米粒のような小さな白花を10~20個まとまって付ける。花弁はなく、花びらのように見えるのは5深裂した萼片(がくへん)。雌しべと8本の雄しべを包み込むように丸まって開く。花期は5月頃から晩秋の11月頃までとかなり長期にわたる。
花後には萼片が肥厚した宿存萼に包まれて小さな黒い果実ができる。蔓蕎麦の和名は蔓性植物で、花や葉、実などがソバに似ていることから。葉や茎には酸味があるが、新芽をてんぷらや胡麻和え、梅肉和えなどとして食すこともできる。ただ『食べられる野生植物大事典』(柏書房・橋本郁三著)では、味覚5段階で下から2番目の☆2つ(料理の腕前しだいで味を楽しめるもの)に位置づけられている。