【日本・中国原産、ヤブランに似た常緑宿根草】
キジカクシ科(旧分類ユリ科)キチジョウソウ属の常緑多年草で、キチジョウソウだけからなる1属1種の植物。日本と中国の原産で、国内では主に本州の関東以西と四国、九州の樹林下に群生する。おめでたい名前は漢名「吉祥草」の音読みから。庭で栽培する家に吉事があると花が咲くという言い伝えに由来する。別称に「吉祥蘭」「観音草」「解夏草(げげそう)」など。
遠目からの草姿はヤブランによく似る。根際から長さ10~30cmの光沢のある細長い葉を束生し、晩秋、高さ10cmほどの穂状花序に淡紫色の小花を10個前後上向きに付ける。花の基部は筒状で、先端の花弁が6枚に分かれて反り返り、雌しべと雄しべ6本が突き出す。花が終わると、冬から春にかけ球形の液果が紅紫色に熟す。
キチジョウソウは茎が地面を這って伸び、所々からひげ根を出して広がることから、ヤブランやジャノヒゲ同様、庭の下草として植えられることも多い。学名は「ライネッキア・カーネア」。属名はドイツの園芸家ライネッケ(1798~1871)の名前に因み、種小名は「肉紅色の」を意味する。葉に斑(ふ)が入った園芸品種は「フイリキチジョウソウ」と呼ばれる。「解夏草を持ちて僧来る海女の家」(石原八束)