く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<ヒイラギ(柊・疼木)> 雌雄異株、芳香を放つ白い小花

2017年11月25日 | 花の四季

【鋭い棘で邪気を祓うモクセイ科の常緑小高木】

 モクセイ科モクセイ属の常緑小高木で、主に関東以西の西日本から琉球列島、台湾にかけて分布する。樹高3~5m。10~12月頃、葉腋に花弁が4深裂し反り返った白い花を付ける。花冠の径は5㎜ほどで小さく目立たないが、そばに近寄るといい香りが漂う。雌雄異株で、雌株は花後、花柱が発達して翌年5~7月頃、球形の実が黒紫色に熟す。

 葉に鋭い棘状の鋸歯を持つヒイラギには古くから魔除け・厄除けの功徳があると信じられてきた。節分の夜には焼いたイワシの頭を枝に刺して門口に飾る風習があり、戦国時代には葉を図案化した「抱き柊」「三つ柊」など様々な紋所が作られた。ヒイラギは一般に「柊」と表記されるが、正しくは「疼(ひいら)ぐ」を語源とする「疼木」。「疼ぐ」は棘を触るとひりひり痛むことを意味する。若木の葉にはこの鋭い棘が目立つが、古木になると棘がほとんどない縁が滑らかな葉が増えてくる。刺が少ない古木の接木で生まれたものに「マルバヒイラギ」という園芸品種がある(下の写真)。

  ヒイラギは木目が緻密なことから印章や将棋の駒、ソロバンの玉など器具材として利用されてきた。ヒイラギは古事記にも登場する。ヤマトタケルノミコトは景行天皇から東征を命じられた際「比比羅木(ひひらぎ)の八尋の矛」を賜った。京都・下鴨神社の七不思議の一つに「何でも柊」がある。境内摂社の比良木神社(出雲井於=いずもいのへの=神社)に献木すると、ことごとくヒイラギになって願い事がかなうという。京都の有名老舗旅館「柊家」の屋号も、邪気を祓うヒイラギが自生するこの神社に先祖が帰依していたことに由来するそうだ。

  ヒイラギの仲間のような名を持つ植物にセイヨウヒイラギやアメリカヒイラギ、シナヒイラギ(ヒイラギモチ)などがある。いずれも赤い実を付けクリスマスの飾りなどに使われるが、これらはモチノキ科でモクセイ科のヒイラギとは全く別物。ちなみにヒイラギモクセイはヒイラギとギンモクセイの交配によって生まれたとされる。「柊の花一本の香かな」(高野素十)

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