く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<ヤマボウシ(山法師)> 白い十字の花に清楚な趣 薄いピンクの花も

2012年05月16日 | 花の四季

【長崎・雲仙、福岡・直方、宮城・栗原などが「市の木」に指定】

 ハナミズキ(アメリカヤマボウシ)と入れ替わるように、今度は日本在来のヤマボウシが咲き始めた。花の形は十字でまるで手裏剣のよう。純白な花が清楚な感じを与えるが、咲き始めは写真のようにやや緑がかっている。花を空に向けて付けるため、上から眺めたほうがよく観賞できる。

 4枚の花びらのように見えるのは、実は花弁を支える総苞片。花そのものは頭状花序で、真ん中に集まった球状のもの。これを坊主頭、4枚の苞を白い頭巾(または袈裟)に見立て、比叡山延暦寺の山法師になぞらえてこの名前が付いたという。ハナミズキに似ているが、ヤマボウシは花びらの形がとがっていることや、葉が出てから開花するといった違いがある。

 秋には直径1~2cmの赤い実がなり、紅葉も楽しめる。実は甘くクリーミーな食感。生で食べられるほか、ジャムや果実酒にすることもできる。中国名は「四照花」。実が桑に似ていることから「山桑」の別名も持つ。花の色は白が多いが、薄いピンクの「ベニヤマボウシ」もある。斑入りの「ウルフアイ」、実が大きな「ビッグアップル」、落葉しない「ホンコンエンシス」など、さまざまな特徴を持つ新品種も生まれている。

 古くから野山に自生することから「まちの木」にしているところも多い。長崎・雲仙市は「雲仙に広範囲に分布して豊かな自然環境を表し、市民にも親しまれている」との理由で、2006年「市の木」に選定した。福岡・直方市も周辺の尺岳、鷹取山に自生するヤマボウシを、タイサンボク(泰山木)とともに「市の木」に指定。宮城県内で最も広い高原のまち、栗原市も市内に多いヤマボウシを08年「市の木」に選んだ。同市は栗原郡10町村が合併し05年に誕生したばかり。中央に小さな花が集まり秋に1つの果実を付けるヤマボウシに、多くの市民が団結し1つの目標に向かっていくという願いを込めたそうだ。

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<バレー五輪世界最終予選> 女子出場8チームが決定、五輪出場権は上位3チーム+アジア枠1チームが獲得

2012年05月15日 | スポーツ

【19日東京で開幕、世界ランクは3位日本が最上位】

 女子バレーボールのオリンピック世界最終予選がいよいよ19日から東京体育館で開幕する。南米大陸予選が14日終了し優勝国ブラジルの五輪出場が決定、ブラジルを除く世界ランキング最上位のペルー(大陸予選2位)が最終予選に回ることになった。これで日本、韓国、タイ、チャイニーズタイペイ、セルビア、ロシア、キューバにペルーを加えた全8チームが出そろった。この大会はアジア大陸予選も兼ねており、上位3チームと、その3チームを除く5チームの中でアジア最上位の1チームの計4チームが五輪出場権を獲得する。

 ロンドン五輪のバレー女子(出場12チーム)ではこれまでに開催国の英国のほか、昨年のワールドカップ1~3位だったイタリア、米国、中国、各大陸予選1位のアルジェリア、トルコ、ドミニカ、それに今回のブラジルの計8チームがすでに五輪出場権を獲得している。残りの枠は4つ。ワールドカップで日本は中国と同じ8勝3敗だったが、勝ち点の差で4位となって、3位までに与えられる出場権を惜しくも逃した。日本女子「火の鳥NIPPON」の世界ランキングは米国、ブラジルに次いで3位。最終予選出場組の中では最上位だけに全勝で今大会を乗り切って、2カ月後に迫った五輪へ弾みをつけたい。

【前半4試合は確実に白星を! タイは要注意】

 最終予選は8チームが1回戦総当たりで戦う。日程と対戦相手(カッコ内は世界ランキング)は次の通り。19日=ペルー(17位)、20日=チャイニーズタイペイ(28位)、22日=タイ(12位)、23日=韓国(13位)、25日=キューバ(10位)、26日=ロシア(7位)、27日=セルビア(6位)。2連戦が2回、3連戦が1回という過酷な戦いとなる。順位は勝ち点で決定し、勝ち点が並んだ場合は勝敗数、セット率、得点率の順番で順位を決める。勝ち点はセットカウント3―0、3―1の場合は勝者に3ポイント、セットカウント3―2の場合は勝者に2ポイント、敗者に1ポイントが与えられる。

 対戦相手を見ると、後半の3連戦で世界ランキング10位以内の強豪3チームと顔を合わせる。それだけに前半は取りこぼしを避けたい。初戦のペルー、2戦目のタイペイはランキング的にもまず大丈夫だろう。ただペルーは2000年を最後に五輪出場を逃し今大会にかける思いが強いだけに油断はできない。

 前半で最も注意を要するのが3戦目で当たるタイだろう。速攻バレーでめきめきと力をつけており、この大会に夢の五輪初出場をかけている。2009年ワールドグランプリでは日本を破り、同年のアジア選手権では準決勝で日本、決勝で中国も破って初優勝。さらに昨年のワールドグランプリでも予選ラウンドでキューバ、決勝ラウンドで中国も破った。ただ同大会の5位決定戦で日本はタイを3―0のストレートで破っている。韓国戦は日本のプレミアリーグ「JT」に一時所属していたキム・ヨンギョン(現在トルコリーグ)をどうマークするかがカギだろう。長身(192cm)を生かした強烈スパイクが持ち味で、プレミアリーグのMVPに選ばれたこともある。

【てごわいセルビア。昨年のW杯で日本ストレート負け】

 後半戦で最も手ごわいのが最終日に当たるセルビア。昨年のワールドカップで日本が五輪出場権を獲得できなかったのも、格下のはずのセルビアに0―3と完敗したのが大きく響いた。そのチームを引っ張るのが日本のJTに所属するヨヴァナ・プラコチェヴィチだ。2011年欧州選手権ではセルビアの初優勝に貢献し、MVPを獲得している。セルビアにはもう1人、日本のプレミアリーグのNECに所属するブリジトカ・モルナールもいる。2人は日本チームの強み弱みを熟知しているだけに要注意だろう。

 ロシアは世界選手権2連覇(2006、2010年)中だが、昨年の欧州選手権は6位に終わり、11月のワールドカップに出場していない。8月のワールドグランプリ予選ラウンドでは日本が3―0のストレートで下している。キューバも五輪を3連覇(1992、96、2000年)した時ほどの勢いがなく、昨年のワールドカップも北中米大陸選手権3位で出場できなかった。日本にとっては最近あまり対戦がないだけに未知数のところもある。

【まもなく最終登録選手12人を発表】

 日本チームはこの大会を控え国内合宿の間に中国遠征を行い、中国ナショナルチームと親善試合4試合を行った。結果は1勝3敗。中国のエース王一梅の豪快なスパイクや速攻、高いブロックに苦しめられた。中国は2004年アテネ五輪で金、前回08年の北京では銅。世界ランキングでは日本より下の5位だが、昨年のワールドカップで早々とロンドン出場権を手にした余裕で、五輪に照準を合わせた強化策が功を奏しているようだ。

 中国に遠征した日本選手は17人。親善試合では各選手の状態や連係などを確認するため試合ごとにスタメンを変更した。全4試合でスタメンだったのはエースアタッカーの木村さおり、セッターの竹下佳江、リベロの佐野優子ぐらいだったようだ。17人の中からまもなく世界最終予選に出場する最終登録選手12人が発表されるが、狩野舞子や栗原恵ら海外チームに所属していた選手は果たしてエントリーされるのだろうか。選ばれるのか、それとも最後に外されるのか。五輪を控え今後の選手生命にもかかわるだけに発表が注目される。それにしても12人に絞り込むのがあまりにも遅すぎるような気がしてならない。

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<山野草展> 野山に自生する姿を〝小宇宙〟に仕立てる楽しみ

2012年05月14日 | 花の四季

【富雄南山野草愛好会の作品展を拝見】

 奈良市の「富雄南山野草愛好会」が富雄南公民館で開いていた山野草展(12~13日)を見学させてもらった。会発足から20年、展示会を始めて14年目。会員15人が丹精込めて仕立て上げた〝作品〟の数々が会場を埋め尽くしていた。小さな器に草花1つのものがあれば、数種類を寄せ植えしたものも。「同じ山野草を使っても仕立て方は人それぞれ。そこに個性が表れセンスも問われます」と同会顧問の最長老、田中通雄さん(83)。山野草栽培の世界もなかなか奥が深そうだ。

 中には自然石を組み合わせたり、新聞紙とコンクリートを使ったりして作ったオリジナル容器に山野草を盛ったものもあった。いずれの容器も自然の風合いたっぷりで、見事に草花とマッチしていた。田中さんに新聞紙を利用した容器の作り方を教えてもらった。新聞を細かくちぎって水に漬けドロドロに溶かす。それにコンクリートの粉末を加え練り合わせて成形、天日で乾かすと出来上がり。「水含みも良く山野草に合う」という。紙粘土細工の要領で世界でただつのマイ植木鉢ができるというわけだ。

キンリョウヘン(金稜辺)        テカリダケキリンソウ(光岳麒麟草)           

 

クモノスバンダイソウ(通称「巻絹」)  ハクチョウゲ(白丁花)

 

カナダおだまき(カナダ苧環)      沖縄きらん草(ヒメキランソウ)

 

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<BOOK> 「かたよらない こだわらない とらわれない 般若心経の力」

2012年05月13日 | BOOK

【村上太胤著、講談社発行】

 古都奈良の世界遺産・薬師寺。「名物管長」といわれた高田後胤(1924~98年)の発願で、写経勧進による白鳳伽藍の復興事業に取り組み、金堂や西塔、回廊、大講堂などが再建されてきた。2010年からは〝凍れるシンフォニー〟と形容される東塔の解体修理(~2018年)が進められている。納められた「般若心経」の写経はこの約40年間におよそ750万巻。本書はその般若心経の「空」の教えなどについて分かりやすく解説している。

    

 著者は1947年、岐阜県各務原市生まれ。9歳のとき薬師寺に入山し、龍谷大学を卒業。2003年に執事長に就任し、法相宗宗務長、薬師寺岐阜別院住職も兼務する。本書は2部構成で、第1部では薬師寺東京別院での法話を中心にまとめ、第2部は著作「仏教のエッセンス 般若心経」(四季社刊)に修筆・加筆したもの。仏教の教えの神髄が詰まるという般若心経の歴史や語句について簡潔に説明している。

 文字数260余りの般若心経の中で最も有名なのが「色即是空 空即是色」。お金や物や地位や名誉など目に見える世界は常に移り変わって最後は「空」である――。それらに執着するからこそ煩悩や苦しみが生じる。煩悩とは貪り、怒り、愚痴の3つ。般若心経は「色」の世界に生きる私たちに反省や気づきの心を与えてくれ、とらわれない心で生きていく「空」の生き方の大切さを説く。全てが実体のない「空」なら、何をやっても無駄で虚しいのではないか? 「全てが変化し常なるものがないからこそ、今この場所この空間を謙虚に受け止め、今こそかけがえのないときなのだと受け止めていく実践的態度が正しい『空』の世界なのです」

 「般若波羅蜜多」は「最高の智慧の完成」を意味する。「智慧」とは知ることと行うことが一体になっていること。知っていても実践しないのはただの「知恵」にすぎない。智慧の完成のために「行じ続ける、悟り続ける、願い続ける」。願うのはみんなが幸せになってほしいという慈悲の願い。これを「利他行(りたぎょう)」と呼ぶ。筆者によると「般若心経は60歳からの教え」。人生が一段落する60歳を過ぎてくると、不思議と欲がなくなり執着する心がなくなって般若心経の教え「色即是空」が「なるほど」と理解できる。それが理解できれば、生きているのが当たり前ではなく、多くの因縁によって「生かされている」「もったいない」「ありがたい」世界なのだと受け止めることができるようになるそうだ。

 般若心経の最後の言葉は「羯諦羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提薩婆呵」。意訳すると「行こう行こう、彼岸へ行こう、彼岸へみんなで行こう、悟りよ幸いあれ」。般若心経は短いお経だが、時間のないときはこの部分を唱えるだけでもいいそうだ。玄奘三蔵も砂漠の旅の途中で、この呪文を唱えながら苦難を乗り越えたという。そう言えば、以前読んだ本の中に高田好胤の書があったはず。「心の添え木 父―高田好胤の書とことば」(高田都耶子著、講談社)をめくると、やっぱりあった。高田好胤は「空」の書の横に「かたよらない心 こだわらない心 とらわれない心 広く広く もっと広く これが『般若心経』空の心なり」と書き添えていた。

    

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<関西フィル公演> ヴィオラの今井信子、指揮・ヴァイオリンのデュメイと珠玉の名演

2012年05月12日 | 音楽

【モーツァルト「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲」】

 11日、大阪市のいずみホールで関西フィルハーモニーの公演を聴いた。お目当てはモーツァルトの「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲K.364」。ヴィオラの第一人者・今井信子が世界的なバイオリニストで同フィルの音楽監督、オーギュスタン・デュメイと共演する。以前、CDで今井の「バッハ無伴奏チェロ組曲全6曲」を聴いてヴィオラの魅力を教えられ、さらに今井の著書「憧れ―ヴィオラとともに」を読んで、今井の生の演奏を聴きたいとかねがね思っていた。

 指揮の傍らヴァイオリンを独奏するデュメイの〝弾き振り〟は今や関西フィルの名物スタイル。この日も今井と共に期待に違わぬ名演奏を披露してくれた。とりわけ第1楽章後半のオケなしの2人の二重奏は、デュメイの明るく華麗なヴァイオリンと今井のヴィオラの深い響きが見事に融合し聴き応え十分だった。第2楽章のアンダンテも秀逸。映画「家族の肖像」(ヴィスコンティ監督)で使われるなど有名な楽曲だが、2人は哀切たっぷりの旋律を琴線に触れるような繊細さで奏でてみせた。

 第3楽章のプレストは一転早いテンポになるが、2人の呼吸は最後までぴったり。それをオケが弦を中心にしっかり支えていた。この曲は変ホ長調で書かれているが、モーツァルトの指示でヴィオラだけは半音高いニ長調で演奏する。その分、ヴィオラの伸びやかな響きが印象的だった。30分余の演奏を通じて改めてヴィオラが雄弁な楽器であることを教えられ、独奏楽器としての魅力と存在感を再確認することができた。この後、休憩を挟んでモーツァルトの歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」序曲と交響曲第35番「ハフナー」が演奏された。ただ個人的には、35番と協奏交響曲の順番が逆になっていたら、協奏交響曲の余韻にもっと長く浸ることができたのではないかと思った。

【26日から今井提唱の第2回東京ヴィオラコンクール】

 今井はこれまで武満徹のヴィオラとオーケストラのための「ア・ストリング・アラウンド・オータム」をはじめ世界初演のヴィオラ作品も多く演奏してきた。演奏家としての活動の傍ら、ジュネーヴ音楽院やアムステルダム音楽院の教授を務めるなど指導者としても精力的に活躍。ベルリンフィルの首席ヴィオラ奏者、清水直子ら今井の薫陶を受けた演奏家も多い。約20年前の1992年には東京でヴィオラ音楽の祭典「ヴィオラスペース」をスタート。その一環として優れたヴィオラ奏者の発掘のため2009年に「東京国際ヴィオラコンクール」を始めた。

 3年に1回の開催で、第2回コンクールが今月26日(~6月3日)、東京・紀尾井ホールで開幕する。予備審査を通過したのは世界14カ国の36人(うち日本人9人)。第1回の1位はロシアのセルゲイ・マーロフ。優勝を機に世界の主要オーケストラと共演するなど活躍の場を広げている。2位はベルギー人、3位はドイツ人だった。今年こそ日本人が上位に入賞することを期待したい。コンクール後の6月4日には大阪の相愛大学南港ホールで「ヴィオラスペース 2012」と銘打って若手演奏家のための公開マスタークラスを開講、翌5日には大阪のザ・フェニックスホールでコンクール入賞記念ガラコンサートが開かれる予定だ。

【R.シュトラウスの「ドン・キホーテ」を聴いてヴィオラに転向】

 ところでヴィオラ奏者にはヴァイオリンからの転向組が多いが、どんなきっかけで転向したのだろうか? 今井の場合、大学在学中に米タングルウッド音楽祭で小澤征爾指揮・ボストン交響楽団のリヒャルト・シュトラウス作曲「ドン・キホーテ」を聴いたのがきっかけという。この作品では独奏ヴィオラがドン・キホーテの従者サンチョ・パンサの主題をユーモラスに奏でる。大阪センチュリー交響楽団の森亜紀子はこの日の演奏曲、モーツァルトの協奏交響曲のヴィオラの音色に引き込まれ、ヴァイオリンからヴィオラに替えたそうだ。

 ヴァイオリンには子ども用の「分数サイズ」があり、16分の1からフルサイズまで成長に応じて楽器の大きさが変わっていく。だがヴィオラにはそれがない。だから大学に入ったりオーケストラに入ったりして初めてヴァイオリンからヴィオラに持ち替える人も多い。ソリストとして評価の高い川本嘉子もオケ入団を機にヴィオラに転向している。

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<キショウブ(黄菖蒲)> 鮮やかな黄色い花が水辺に映えるが……

2012年05月11日 | 花の四季

【環境省の「要注意外来生物」! 約110年前日本へ】

 遠目にもはっきり分かる鮮やか黄色の花を咲かせるキショウブ。水辺に群生する姿はなかなか美しい。原産地はヨーロッパからアジア西部にかけての地域で、英名では「Water Flag(ウオーターフラッグ)」「Yellow Iris(イエローアイリス)」と呼ばれる。原色日本帰化植物図鑑(保育社)によると、日本に入ってきたのは明治30年(1897年)ごろだが、今では各地の溜池や沼、水田脇などで野生化している。

 アヤメやハナショウブ、カキツバタと同じアヤメ科アヤメ属。アヤメやカキツバタの葉は平べったいが、キショウブはハナショウブ同様、葉の中央が膨らみ、花の形もハナショウブに似ている。ただハナショウブは花の色や形に長年改良が加えられ、今では1000以上の園芸品種があるという。アヤメは野山や庭園など乾いた所で育つが、キショウブやハナショウブは湿地を好む。

 帰化植物といっても、春の水辺を彩る花としてすっかり親しまれている。ところが、この植物が環境省の「要注意外来生物」になっていると知ってびっくり。「繁殖力が強く、水辺の在来種と競合・駆逐の恐れがある」というのがその理由。日本のアヤメ属のうちカキツバタなど5種類が絶滅危惧種に指定されており、交雑などにより〝遺伝的撹乱〟の可能性があるというわけだ。

 海外では水路や湿った畑などに繁茂するため、雑草扱いされているという。そう言えば、国内でもかつてキショウブを目にする機会はあまりなかったが、最近は以前に比べ増えてきたように感じる。環境省はキショウブを栽培する際には管理場所以外に流出しないよう気をつけ、野生化し在来種駆逐の恐れがある場合は防除するよう指導中。身近な水辺環境「ビオトープ」をつくるときにも極力、在来の水草を利用するよう呼びかけている。

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<全日本選抜柔道体重別選手権> 宿敵が最終決戦、女子48kg級と52㎏級の行方はいかに?

2012年05月10日 | スポーツ

【12~13日福岡国際センターで開催、大会後に五輪代表が決定】

 ロンドン五輪代表選考会を兼ねる全日本選抜柔道体重別選手権が12日、福岡市の福岡国際センターで開幕する。五輪に出場できるのは男女とも7階級でいずれも1人だけ。13日の大会終了後に代表選手が発表される。国際大会での実績や力量の差からすでに代表候補がほぼ内定している階級もあれば、まだ僅差で今大会の結果が大きく左右しそうな階級もある。とりわけ女子48kg級では浅見八瑠奈(24)と福見友子(26)、52kg級では中村美里(23)と西田優香(26)がここまで激しい選考争いを演じてきた。宿敵同士の戦いはどんな形で決着がつくのか。この女子2階級は最終日の13日に行われる。

【48kg級】浅見―けがは回復?実戦4カ月ぶり、福見―欲しい一本勝ち

 田村亮子が長く世界の女王として君臨、五輪では2000年シドニーと04年アテネで「金」、08年北京で「銀」を獲得した。それだけにロンドンでも「金」への期待が大きい。この階級は国際大会で優勝するより、国内大会を制するほうが難しいとさえいわれてきた。浅見八瑠奈と福見友子の両選手はその頂点を激しく競い合ってきた。だが五輪の代表枠はわずか1人。全日本柔道連盟にとっても、いよいよ苦渋の選択の時を迎える。

 2人の中では浅見が一歩先行してきた。山梨学院大学3年だった10年1月、世界ランキングの上位選手が集まるワールドマスターズ準決勝で初めて福見に一本勝ちすると、同年夏の世界選手権決勝でも福見を破る。さらに翌11年の世界選手権でも再度決勝で顔を合わせて優勢勝ち、2連覇を果たした。浅見は11年のワールドマスターズも連覇しており「外国選手に強い」という定評もある。

 ただ今年1月のマスターズは直前に左膝靱帯を痛めたことの影響もあったのか、決勝でライバルの福見に敗れている。そのけがのため2月の欧州遠征も取りやめており、今大会はほぼ4カ月ぶりの実戦となる。それだけに、けがからの復調具合と実戦感覚が気になるところ。国際試合では多くのタイトルを取ってきた浅見だが、この体重別選手権では2010年は決勝で福見に敗れ、昨年は福見を破って勝ち上がってきた山岸絵美(25)に決勝で負けている。それだけに今大会を優勝で飾って五輪代表を決定づけたいところだろう。

 福見は世界選手権決勝で2年連続、浅見に敗れたうえ、昨年12月のグランドスラム・東京でも決勝で浅見に小外刈りで一本負けした。この段階で五輪代表選考レースで浅見にかなり水をあけられていた。だが今年1月のマスターズ決勝で浅見に優勢勝ちして雪辱、さらに2月のグランドスラム・パリでも優勝して息を吹き返した。福見・浅見の対戦成績は4勝4敗と五分。今大会の組み合わせでは両者が別ブロックのため、順当に勝ち上がると決勝で顔を合わせる。福見としては決勝で何としても浅見から一本を取って代表入りをアピールしたいところだ。

【52kg級】中村―国際実績で先行? 西田―直前のアジア選手権制し勢い

 2人ともロンドン五輪への思い入れは極めて強い。中村美里は4年前、北京五輪に出場したものの、準決勝で北朝鮮の安琴愛(アン・グムエ)に敗れ銅メダルに終わった。その時の「金メダル以外はみんな同じ」という言葉に悔しさがにじむ。ロンドンでその雪辱を果たしたい。一方、西田優香は北京五輪前年の2007年世界選手権で銅メダルを獲得、五輪代表候補の最右翼といわれながら、代表選考最終試合の08年体重別選手権で1回戦敗退、五輪出場の夢はかなわなかった。ロンドン出場はそれ以来の悲願だ。

 国際試合での実績では中村が先行している。北京五輪「銅」のほか、世界選手権は2009年「金」、10年「銀」、11年「金」、ワールドマスターズも10年、11年と連覇した。10年のアジア大会、11年の世界選手権では北京で破れた安琴愛も撃破している。ライバルの西田には10年世界選手権決勝で旗判定の末敗れたが、11年世界選手権決勝では優勢勝ち。ただ今年1月のワールドマスターズ決勝では延長の末、西田に一本負けを喫した。この体重別選手権は過去2年連続優勝している。

 一方の西田は切れ味鋭い背負い投げを武器とし、11年世界選手権では決勝で中村に優勢負けしたものの、準決勝までの5試合は全て背負い投げで一本勝ちした。今年1月のマスターズで中村に勝ったのも背負い投げだ。2月のグランドスラム・パリで優勝すると、4月下旬にウズベキスタンで開かれたアジア選手権にも出場した。体重別選手権を控え、有力選手が回避する中であえてアジア選手権に出たのは、ロンドンでも日本人選手の有力ライバルと目される北朝鮮・安琴愛を倒して代表入りへポイントを稼ぐ狙いがあった。

 同大会に残念ながら安琴愛は出場しなかったが、西田はオール一本勝ちで優勝した。しかも燕返し、小内刈り、大外刈りと多彩な技を繰り出し、いずれも1分以内という圧勝だった。西田は今年に入ってまだ負けなし。関係者の間では中村と西田は「これで五分五分になった」との見方も浮上してきた。2人にとって今大会はまさにロンドンに直結する大一番になりそうだ。

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<岐阜・郡上八幡> お城と郡上踊りと清流のまち

2012年05月09日 | 旅・想い出写真館

 

 

 

 

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<ヒトツバタゴ> 「雪の花」―まるで雪が降り積もったように木全体が真っ白に

2012年05月08日 | 花の四季

【通称「ナンジャモンジャ」とも、希少種で国は絶滅危惧種に指定】

 モクセイ科の落葉高木で、属名は「Chionanthus」(雪の花)。その名が示すように、4月下旬から5月にかけて雪が降り積もったように木全体に純白の花を付ける。その珍しい姿形から「あれは何者だ」を意味する「ナンジャモンジャ」と呼ばれることも多い。成長すると高さは20mにもなる。花びらはユニークなプロペラ形で、散る時には竹とんぼのようにクルクル舞い落ちる。

 名前の「ヒトツバ」は一つ葉、「タゴ」はトネリコの別名。トネリコに似ているが、葉が複葉でなく単葉(一葉)なのでこの名が付いたという。国内の自生地は岐阜県の東濃地方から愛知県にかけての木曽川沿いや長崎県対馬市の鰐浦地区などに限られている。いずれも国指定の天然記念物だ。環境省は絶滅の危険が増しているとして、ヒトツバタゴをレッドリストの中で「絶滅危惧Ⅱ類」に分類している。海外では朝鮮半島、台湾、中国南部などに分布する。

 最近では街路樹や公園などに植樹されることが増えてきた。街路樹として国内最大規模なのが北九州市戸畑区の「なんじゃもんじゃ通り」。ハナショウブで有名な夜宮公園西側に、沿道約500mにわたって100本を超えるヒトツバタゴが植えられている。花の盛りの時期には毎年「なんじゃもんじゃ祭り」まで開く。今年は4月30日に13回目の祭りがにぎやかに繰り広げられた。東京・小金井市にも通称「ナンジャモンジャ通り」がある。明治神宮外苑のヒトツバタゴも有名。大阪市内では大阪城天守閣広場、長居公園(写真、2010年5月8日撮影)、肥後橋郵便局前(西区)などで見ることができる。

 「ナンジャモンジャ」はヒトツバタゴを指すことが多いが、地方によっては御神木や正体不明の巨木などをそう呼ぶ。例えば、神奈川県逗子市・神武寺のホルトノキや、千葉県神崎町・神崎神社のクスノキ、静岡県三島市・三島神社のカゴノキなどは、いずれも「ナンジャモンジャ」と呼ばれ大切に保護されてきた。「ナンジャモンジャ」の由来には水戸黄門(光圀)が家臣に木の名前を尋ねたところ、家臣が返答に窮し、その言葉を聞き違えた――など諸説がある。「ナンジャモンジャ」ではなく「アンニャモンニャ」と呼ぶ地域もあるそうだ。

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<五輪代表に田中3兄弟>父も体操一筋、戸畑高→日大→和歌山県庁体操部、今は和歌山で体操教室代表

2012年05月07日 | スポーツ

【長年の指導歴、日本体操協会の第1回優秀指導者賞を受賞】

 体操をする兄を見て小さな妹も始め、弟も触発されて体操に挑戦――。スポーツの世界ではよくあるケースだが、その3人がそろって一流選手に成長し、夢舞台オリンピックへの切符まで獲得となると世界でも極めて珍しい。和仁(26、徳洲会)、理恵(24、日本体育大学研究員)、佑典(22、コナミ)の田中3兄弟はその夢を実現、ロンドン五輪に一緒に出場することになった。3兄弟の同時出場は1996年アトランタ五輪での柔道・中村3兄弟(佳央・行成・兼三)以来。体操界では世界でも初の快挙だろう。

 田中兄弟が広く注目を集め始めたのは2年前の2010年に兄と妹が同時に世界選手権(オランダ・ロッテルダム)代表に選ばれたころから。特に理恵は10代の小柄な選手が多い日本女子体操界にあって、年齢的にも体格的(身長156cm)にも最近にないタイプ。ダイナミックで表現力に富む演技といつも絶やさない笑顔が印象的だ。10年世界選手権では気品のある美しい演技が観客を魅了、日本女子選手では初めて「ロンジン・エレガンス賞」を受賞している(日本選手では富田洋之以来2人目)。3人は2011年の世界選手権(東京)にもそろって出場した。

【高校に入って体操部に。平行棒で全国2位にも】

 体操一家といわれてきたが、一気に3人の五輪選手を育て上げた両親はどんな方だろう? 思いを巡らせている時、6日、郷里の福岡県から1本のメールが入った。「父は鹿児島生まれで、戸畑高校に入って体操を始めたらしい」。戸畑は私の出身地。戸畑高校といえば、かつて体操の名門校として知られていた。3兄弟の父、田中章二さん(62)が入学した年にも、同級生の中に福岡県の中学大会で1~3位だった上位3人がいたという。

 田中さんは高校3年のときインターハイに出場、平行棒で全国2位の好成績を上げている。日大時代には大学選手権で個人7位、団体2位に。大学卒業後、和歌山県教委に入り、1年後、県立和歌山北高校教員となり体操部の監督に就任する。和歌山県はそのころ国体を連覇するなど体操全盛期だった。田中さんは子どもたちを指導する傍ら、県庁体操部に所属して32歳まで現役を続行、この間、国体や全日本選手権などにも出場している。

【体操好きな子を育てたい―34年前に体操クラブ設立】

 現在は「和歌山オレンジ体操クラブ」(和歌山市)の代表で、和歌山北高の体操部顧問。和歌山県体操協会常務理事、強化・ジュニア部長も務める。クラブは「体操が好きな子を育てたい」という思いから1978年に設立した。3人の息子と娘もそこで父やコーチ陣の指導を受けて育った。2009年には長年のジュニア指導の功績が認められ、日本体操協会が新しく設けた表彰制度の「優秀指導者賞」を、塚原千恵子さん(朝日生命体操クラブ)ら2人と共に受賞した。

 日経新聞が昨年の元旦号特集「跳べニッポン人」で田中さんを取り上げ、その中で独特な指導方法を紹介している。それによると、新しい技を教えるとき最初の2週間は練習を1日3回までと決めているという。「成功と失敗を繰り返すと悪い方のイメージがインプットされてしまうから」というのがその理由。大会には表彰台が狙えるレベルになって初めて出場させる。時には表彰台でメダルをもらう予行演習までして、選手にやる気を起こさせる。長年の指導経験から編み出したノウハウだろう。

【半年前「3人の五輪出場は夢みたいなことだが…」】

 3人兄弟はこれまでけんかをしたことがないというほど仲がいいことで有名。田中さんは半年前の昨年11月、和歌山で開かれた「近畿地区体育施設研究協議大会」で子育てをテーマに講演している。「何事も基本が大切。体操の技だけでなく日常生活やものの考え方についても、すぐに教えることと、自分で考えさせることを分けて育ててきた」。3人がそろって五輪に出場する可能性については「夢みたいなことが起こりうると信じたい」。そう話していたそうだ。

 5日の五輪代表最終選考会を兼ねたNHK杯最終日。末の息子・佑典の代表入りが発表された瞬間、田中さんは立ち上がって万歳、目から涙があふれた。長男・和仁と長女・理恵はいずれも1位で代表入りが確実だったが、佑典は微妙な立場だっただけに田中さんも感極まったのだろう。3人の母、誠子さん(51)もかつて体操の選手だったが、大会の時はいつも願掛けで会場に行かずテレビ観戦するという。田中さんが3人そろっての五輪出場を報告すると、誠子さんも電話口で泣いていたそうだ。

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<紫蘭(シラン)> 春の庭を彩る紫花 楚々とした中に品格も

2012年05月06日 | 花の四季

【地下茎は生薬の原料や七宝細工の糊剤に】

 ラン科シラン属で、原産地は日本や中国、台湾など。ランといえば高級花という印象が強いが、このシランは庭花としてポピュラーな存在。寒さに強くて半日陰でも育ち、病気にもかかりにくい。名前通り、茎の先に数個の紫色の花を付ける。花の色が白いシロバナシランや薄いピンクの紅をさしたようなクチベニシラン、葉に白い縁どりが入るフクリンシランなどもある。

  地中近くの球茎は古くから「白及(びゃくきゅう)」として生薬の原料に利用されており、2000年近く前の中国・後漢~三国時代に書かれた「神農本草経」という薬物の本の中にも取り上げられているという。止血や切り傷、やけど、あかぎれなどに効くそうだ。高浜虚子も「君知るや 薬草園に 紫蘭あり」と詠んでいる。

 万葉集の中に大伴池主が家持に贈る歌の序文の中に「蘭(らんけい)くさむらを隔て……」という表現が出てくる。この「蘭」はシュンラン、「」はシランを指すともいう。「蘭」で学問上の友や親しい交友関係を指し、家持が病に伏せていて、なかなか会えない残念な心情を表わしているそうだ。

 球茎は粘着性に富み、七宝細工の糊剤として使われる。「白及糊(しらおいのり)」と呼ばれ、金属の素地に銀線などを張り付けて輪郭線を作る時に、この糊で接着する。これにガラス釉を施して高熱で焼く。七宝焼の技法は中近東で生まれシルクロードを通って日本に伝わった。日本最古の七宝細工は奈良の藤ノ木古墳から出土した馬具の鞍金具らしい。これにもシランの地下茎から取った糊が使われているのだろうか?。

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<バレーボール黒鷲旗> 女子準決勝は東レ―岡山、JT―NECの戦いに

2012年05月05日 | スポーツ

【初登場の東レ、若手が奮起。岡山にも制覇の可能性】

 バレーボールの第61回黒鷲旗は4日から決勝トーナメントに入り、女子はプレミア勢の東レ、岡山シーガルズ、JT、NECの4チームが勝って5日の準決勝に駒を進めた。東レはトヨタ車体に逆転勝ちし、選手層の厚さを示した。岡山は若手セッターと攻撃陣の連係が絶好調。JTはプレミアリーグのレギュラーラウンドで3戦3敗だったデンソーに逆転勝ち。NECはチャレンジリーグ1位の日立を寄せ付けなかった。準決勝の対戦は東レ―岡山、JT―NECの組み合わせ。岡山は東レにリーグ戦で1勝2敗だが、東レは主力が日本代表候補の合宿で不在だけに勝機は十分。これを突破すると黒鷲旗制覇の可能性も出てくる。

東レ3―1トヨタ車体(24―26、25―17、25―13、25―23)

 東レはアジアクラブ選手権(準優勝)出場で予選グループ戦を免除されたため、この準々決勝が初登場。その硬さもあってかトヨタ車体に試合開始早々に連続3ポイントを挙げられる苦しい立ち上がり。終盤に追いつきジュースに持ち込むものの、最後はブロックで第1セットを奪われた。だが、第2セット以降、峯村沙紀や高田ありさ、小平花織、二見梓ら若手陣のスパイクが決まり始め3セットを連取し逆転勝ち。いずれもまだ20代前半の選手ばかり。東レといえば木村沙織、荒木絵里香、迫田さおりら日本代表候補の活躍ばかり目立つが、若手も順調に伸びていることを証明したような一戦だった。

 

岡山3―0大野石油広島(25―22、25―13、25―20)

 予選グループ戦3戦全勝の岡山と、パイオニアを破って勝ち上がってきた大野石油の戦い。日本代表候補の山口舞を欠く岡山だが、その穴を福田舞と関李香らが埋める活躍を見せ、大野石油を寄せ付けなかった。日本代表候補の17歳若手セッター宮下遥と攻撃陣の連係も見事に決まっていた。岡山の選手の多くは大阪国際滝井中学・高校の出身者(宮下は在学中)。この日も母校の生徒たちが会場を埋め尽くし、その声援に応えるかのような余裕のある試合運びだった。

 

JT3―1デンソー(23―25、25―22、25―10、25―19)

 プレミアリーグではデンソーが3位、JTが5位。デンソー鍋谷友理枝のサービスエースで始まった第1セットは高橋菜穂子らのスパイクやブロックが決まり終始デンソーペース。だが第2セットの中盤以降、JTの位田愛のスパイクが次々に決まり始める。このセットを奪い返すとJTは第3セットでも位田の強打、フェイント、ブロックに加え、セッター橋本直子が続けざまに3本のサービスエースを決めるなどデンソーを圧倒。第4セットも石川友紀の速攻やブロックがよく決まり、最後は位田の強烈スパイクで締めくくった。

 

NEC3―0日立(26―24、25―19、25―21)

 予選を東レ抜きの3チームで戦って2戦2勝のNECと、主力を欠く久光製薬を破りセット率の差で勝ち上がってきた日立との一戦。NECは第1セットこそもつれてジュースに持ち込まれたが、第2セット以降はプレミアチームの貫禄を見せストレートで日立をしりぞけた。ただ両チームともサーブがアウトになったり、ネットに引っ掛けたりすることが目立ち、ボールが手に付かないような試合展開だった。その中でNECの張紫音の活躍が光り、杉山祥子も要所でベテランの味を出していた。

  

 

 

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<BOOK> 「清盛・義経 ゆかりの人と伝承地」

2012年05月04日 | BOOK

【山嵜泰正著、ふたば書房】

 著者は1936年京都市生まれ。京都教育大付属高校・同大非常勤講師を兼務し、定年後、京都文教大非常勤講師も務めた。「京・嵯峨嵐山の伝承を歩く」「おもしろ鬼学」や「京都府の不思議事典」「京都の地名」シリーズ(共著)など著書も多い。初版発行は昨年11月。今年1月からのNHK大河ドラマ「平清盛」の全国放送開始にタイミングを合わせたものだろう。

   

 第1部「平清盛ゆかりの人々と伝承地」は11章から成り、まず落胤説など清盛出生の秘密に触れた後、異常な出世の裏側を紹介する。宋との貿易、大輪田泊の改修、三十三間堂造営、福原での千僧供養などを通じ着々と政治力・経済力を築いていった清盛。高倉天皇の中宮、娘徳子が懐妊したときには社寺に安産・皇子誕生の祈祷を命じたという。安徳天皇誕生に、清盛をはじめ平家一門の喜びはいかばかりだったか。だが、わずか3年後清盛は没し、さらにその3年後には壇の浦で平家は滅ぶ。

 第2部「牛若・義経の伝承」は5章構成で、弁慶伝説や源義経の愛人静御前のほか、あまり知られていない正妻などにも触れている。1部では平家一門、2部でも源氏の系譜を一人ひとり紹介しているが、平家では改めて享年の若さ(維盛27歳、資盛24歳など)が印象に残る。京都を中心に今も残るゆかりの名所や地名のいわれなども詳しく紹介しており、源平名所案内のガイド本としても重宝。

 最後に平安末期の歌人、西行の言葉を紹介している。「世の中に武者おこりて西東きたみなみ いくさならぬところなし。うちつづき人の死ぬる数きく おびただし。まこととも覚えぬ程なり。こは何事のあらそひぞや。あはれなることのさまかなと覚えて 死出(しで)の山 越ゆるたえまは あらじかし なくなる人の 数つづきつつ」。西行は平家滅亡後、平重衡の焼き打ちに遭った東大寺再興へ寄進勧進のため奥州平泉に赴いた。亡くなる4年前、69歳の時。西行は吉野の山桜の「第一の恩人」だったが、東大寺の恩人でもあった。

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<アジュガ(西洋十二単)> 日本固有種の野草「十二単」との混同も

2012年05月03日 | 花の四季

【アジュガの花は主に青紫、十二単は白っぽい薄紫】

 先日、ある「道の駅」で園芸コーナーをのぞいていると、山野草などの中に「アジュガ」があった。ところが名札には「ジュウニヒトエ」。あれっ! 花穂が直立し鮮やかな青紫色の花。どう見てもアジュガに間違いない、はず。花穂が1本だけなのに値段も随分高い。確か日本在来の野草の中に「十二単」というのがあったはずだが……。

 帰宅して早速、庭のアジュガを観察、本でも調べてみた。講談社の「草木花の歳時記 四季花ごよみ」で十二単をめくると、その説明に「たくさんの小さな淡紫色の花を円錐状に咲かせる」とあった。写真を見ると、花穂の外見は確かにそっくりだが、花の色は白っぽくてアジュガの濃い青紫とは違う。そうか、アジュガは日本で「西洋十二単」と呼ばれているのか。和名を知らなかった。園芸店ではそれをさらに略して「十二単」として売っていることも多いため、日本在来の十二単と混同する人が多いという。納得!

 十二単もアジュガも同じシソ科。アジュガの花はほとんどが青紫だが、ピンクのほか十二単に似た白いものもあるという。では、世界共通の学名は? アジュガは「Ajuga reptans(アジュガ・レプタンス)」、そして十二単は「Ajuga nipponensis(アジュガ・ニッポネンシス)」。えっ、頭は同じアジュガ? これじゃ、混同するのも仕方ないか。ちなみにアジュガはラテン語で「束縛が無い」を意味するそうだ。

 アジュガは寒さに強い多年草で、春になると花茎の高さが20~30cmにもなる。十二単の名の由来は花が階段状に重なって咲く姿を宮中の女官の十二単に見立てたものだが、その姿はアジュガにもあてはまる。ただ、十二単は茎などを白い毛が覆っているが、アジュガにはほとんどない。繁殖力旺盛で、ランナーを伸ばして増えるため、グランドカバー用の這性植物として利用されることも多い。

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<黒鷲旗初日>桜井引退試合のデンソー、薄氷の勝利に鍋谷の目にも涙

2012年05月02日 | スポーツ

【〝ほろ苦〟本格デビュー、サーブで崩される場面も】

 バレーボール黒鷲旗初日の1日、女子はプレミア勢がチャレンジリーグや大学・高校チームを順当に破ったものの、手に汗握る熱戦が目立った。中でもデンソーvs大野石油広島戦とトヨタ車体vs日立戦はいずれもフルセットにもつれ込む戦いになり、かろうじてプレミア勢が勝った。デンソーにとってはベテラン桜井由香の引退試合とあって、絶対に負けられない一戦だったが、最後までどう転ぶか分からない展開となった。

 ◎デンソーvs大野石油広島 3―2(20―25、25―23、25―17、28―30、20―18) 期待の新人・鍋谷友理枝がスタメン起用され、ほぼフル出場した。デンソーは第1セット大野石油の強力スパイクやフェイントなどに翻弄され取られると、第2セットも激しい競り合い。どうにか2セットを連取するが、第4セットはジュースの末、最後は鍋谷のサーブレシーブミスで落とす。最終セットは大竹里歩のブロックや鍋谷のスパイクで一時12―7と水をあけるが、鍋谷がサーブで崩されるなどして再びジュースに。大野石油のマッチポイントをどうにかしのいで、最後はサービスエースで逃げ切った。

   

 鍋谷の試合後の涙は高校時代からのトレードマークだが、この日も桜井選手に声を掛けられるともう止まらなかった。桜井は鍋谷が生まれた年の1993年に日本電装に入部、その後、2008年北京五輪に出場するなど全日本代表として活躍した。桜井はこの試合で最終セットの途中から出場した。鍋谷にとっては自らのミスもあってドキドキの試合展開だっただけに、勝利で桜井の引退試合を飾ることができホッとしたことだろう。桜井選手、長年ご苦労さまでした! 

 ◎トヨタ車体vs日立 3―2(25―23、17―25、22―25、29―27、15―11) この試合もチャレンジリーグ1位の日立(写真)がトヨタ車体を相手に互角の戦いぶりを見せ、中でも高崎紗織梨が何度も強烈なスパイクを決めた。日立は第2、第3セットを連取すると、第4セットも一時21―19とリード、このまま逃げ切るかと思われた。トヨタ車体はどうにかジュースに持ち込み、相手高崎の強打で25―26とマッチポイントを握られるが、これもしのぎサービスエースなどでこのセットを取り返した。最終セットは最初から先行し逃げ切った。

   

 ◎JTvs上尾メディックス 3―0(25―19、25―10、25―17) 前回優勝のJTがストレートで上尾を下した。位田愛(写真)の攻守にわたる技の切れが光り、特に第2セットは強力スパイクにサービスエース、好レシーブと縦横の活躍を見せた。全日本の司令塔、竹下佳江に代わって橋本直子がセッターをそつなくこなし、サーブ力の高さも示した。第3セットには石川友紀の速攻が要所で決まった。

   

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