“和加久閇爾 韋泥弖麻斯母能”。これを、<ワカクヘニ イネテマシモノ>と読みます。「若くへに 率寝てましもの」です。『若い時に、一緒に寝ておったらよかったのになー』と、い言うぐらいの意味になります。
和加久閇爾 =わかくへに、これは「若かりし時に」ぐらいの意味です。なお、この「閇」<ヘ>ですが、宣長は、これを「いにしへ」などの「へ」、即ち、時とか、方向とかを指すときに使う言葉だと説明しております、そんな若い時に、「韋泥弖<イネテ>、率寝てで、 麻斯母能<マシモノ>で、「寝て居るべきだったのだろうか」という意味になります。
たったの12字の中に込められている天皇の悔恨の情がありありとうかがえます。「今更、こんなことを云っても始まらない、仕方がないことだが、本当に残念なことであったなあ。どうか許して下さい」という思いが込められているのです。何処にも大悪天皇だと言われているような面影は、此の中からは、一欠けらも、見当たりません。