更に古事記では、雄略天皇の歴史について書いております。「又天皇」という三字を持って前の話題から転じて、次の話題を展開しております。
天皇は「又」です。今度は、自分の妻になる乙女に逢いに「春日」行くのですが、その女性は恥ずかしがって隠れて顔を見せません。その時、天皇は、ただ、歌を読んでいるだけで、どの結果どうなったかは書かれてはいません。
次は「又天皇」出話題を変えております。それによりますと、宮中で酒宴があった時です。三重の妥女が捧げ持っていた盃を天皇に恭しくさし出します。すると、その盃に、どうしたわけか、槻の木の葉が入っていたのです。その盃を手にした天皇は激怒して、その乙女を撃ち殺そうとしますが、乙女は、その時、歌います。
「盃に入った槻の葉は枝の天辺に茂ったもので、枝を下へ下へと三回も伝わって落ちて来たものです。大層、貴重で有難いものです。天子様に差し上げる盃にわざわざ入って来たものです。誠に貴い物なのです」
と。
その妥女の歌を聞いた天皇は、「そうか」と、すぐ、その妥女をお許しになります。物の道理のよく分かる天皇で、己の感情にすぐ負けて我儘勝手な事をする何処かの国の暴君のようではない事を云っているのです。此の「古事記」を読むかぎりでは、雄略天皇が何処に大悪天皇なのか分かりません。なお、この後、天皇はその歌に感激して、この妥女に沢山の引き出物を送っております。誠に優しい天皇dということを書いております。