月刊 きのこ人

【ゲッカン・キノコビト】キノコ栽培しながらキノコ撮影を趣味とする、きのこ人のキノコな日常

『里山のきのこ』

2012-09-16 18:53:19 | キノコ本
『里山のきのこ』 本田尚子

身近な里山に生えるキノコを中心にあつかった画集。

ただ、画集といいながらも、キノコの形や色、大きさに着目したり、食毒やにおいに着目したりと、テーマごとに紹介してあり、少ないながらテキストもあるので、ちょっとした図鑑としての体裁も持っている。

絵は水彩画。筆致はやさしく、丁寧。生態図では里山の林床のほの暗い雰囲気までがきちんと表現されており、それを含めて、キノコを現場できちんと観察していなければ描けない絵だということが一目でわかる。著者のキノコに対する優しい眼差しまでが思い浮かぶようだ。

キノコのセレクションにまったく気取りが感じられないのも好感が持てる。私が普段フィールドにしている里山で、ごく当たり前に見かけるようなものばかりだ。美しいか、美味しいか、珍しいか、有名か。そういうのもあるけど、たとえそれらに無縁なキノコでも、それはそこに在る。そういうことをきちんと知っている人なんだと思う。

ええ、とっても素敵なキノコ本です。子供に持たせてやりたい。


地味菌大活躍。