先日、
『オプラ・ウィンフリー・ショー』終わるの記事で少し紹介したように、現在、劇団昴(すばる)によりジョン・スタインベック原作の『エデンの東』が上演されています。
最近、韓国のTVドラマで同名『エデンの東』というものがありますが、それではありません。
また、アニメや小説で『東のエデン』という作品もあるようですが、これまた違います。
僕は、ジョン・スタインベック研究者として、スタインベックが原作の演劇はできるだけ見るようにしていますので、今回も短い上演期間を逃さず、5月29日に東京の下北沢の本多劇場まで日帰りで見に行ってきました。
『エデンの東』はジェームス・ディーン主演の映画で有名ですが、実はあの映画は長い原作の1/3程度しか使われていません。
また、宝塚歌劇でも『エデンの東』が上演されたことがありますが(僕は実際の部台は見ていませんが、ビデオでは観ました)、これも映画版をミュージカルにした感じで扱われているのはやはり原作の1/3程度でした。
実は、『エデンの東』は、スタインベックの作品の中で最も長い小説で、登場人物たちの3世代に渡る長い年月を描いた壮大な物語なのです。
以前、スタインベックの故郷サリナスの地で上映された『エデンの東』(
East of Eden)の演劇を観たことがあるのですが(1994年8月)、上演にほぼ半日かかっていました。
今回の、劇団昴の演劇は、映画版よりも時をさかのぼり演劇化されていました。今回の観劇をきっかけにして、あらためて原作を読んでいますが、円熟期のスタインベックが書いた作品だけあって、非常に読み応えがあります。
大阪教育図書から出版されている『スタインベック全集』には、その第12巻、13巻に『エデンの東』が所収されています(←長いです)。
また、第17巻には、スタインベックが『エデンの東』を執筆しているときに書いていた「『エデンの東』創作日誌」が収録されています。
興味をもった人は是非読んでみてください。
さらに興味をもった人に対しては、早川書房版からは2種類の翻訳が出ていることも申し添えておきます。
また、映画版の『エデンの東』や宝塚の『エデンの東』を見てみることもおもしろいでしょう。
僕も原作をあらためて読み直していますが、これを最初に読んだ20代の頃とは違う読み方ができるなあなどと考えながら、楽しんでいます。
ところで、今回の演劇ですが、非常によくできていました。
幕が降りたあと、ポスト・ショー・トークとして脚本家と俳優たちの座談会があり、それも楽しむことができました。
この演劇については、日本ジョン・スタインベック協会の
Newsletterにも劇評を執筆することになっています。
もう少し考えを巡らし、的確な劇評を書きたいと思います。