興味深い記事もけっこうあるのだが、
纏めるのは久し振りになってしまった。
とりあえず先日届いた最新号から。
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1.今、社労士として知っておくべきマイナンバーの概要
(マイナンバー制度検討部会 立岩副会長)
2.怒りのコントロールでパワハラ防止を~アンガーマネジメントで職場を変える(最終回)
(神奈川会 小林浩志社労士)
3.「多様な正社員」と雇用管理
(学習院大学 今野浩一郎教授)
4.成長戦略にみる外国人材の活用と今後の外国人労務管理のポイント
(東京会 持田玲香社労士)
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1.今、社労士として知っておくべきマイナンバーの概要
(マイナンバー制度検討部会 立岩副会長)
□「マイナンバー」は住民票を保有する全員に対して指定される12桁の個人番号。
□平成27年10月から全国民にマイナンバーの通知が開始される。
(自宅への郵送)
□現時点では平成28年1月から「順次」利用開始される、とアナウンスされている。
国税庁の進捗が早く、平成28年1月にも、
会社を退職した社員に対するマイナンバーを記載した源泉徴収票の発行が始まる。
□社会保険労務士の扱う様々な労働社会保険手続において、
マイナンバーを記載する必要が生じると思われる。
□マイナンバー漏えいの場合の罰則規定に注意が必要。
個人情報保護法では過去6か月各日5000件以上の個人情報を取り扱う場合に限り
「個人情報取扱事業者」となるが、
マイナンバー法では1件でもマイナンバーを含む情報を扱えば
「個人番号関係事務実施者に該当し、法律が適用される。
※「個人情報保護体制の認証制度を持つ士業団体」である社会保険労務士、
或いは「SRP」という認証制度の広報、という面もあるが、
マイナンバー制度の状況や意識しなければならない事項が挙げられた記事だと感じた。
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2.怒りのコントロールでパワハラ防止を~アンガーマネジメントで職場を変える(最終回)
(神奈川会 小林浩志社労士)
3か月連載の最終回。
□私たちを怒らせる原因の一つが「べき論」の存在。
「べき論」と目の前に起きている事実や現実との間にギャップがあると、
怒りの感情となって現われやすい。
□「べき論」は基本的に全て正解。
本人にとって正解なので、強い主張になる。
クレーマーなど。
□「べき論」が悪い訳ではない。
ただ「べき論」は自分だけに通用するルールであることが多く、
人を縛れるルールではない。
□自分や他人が普段どんな「べき」を大切にしているかを把握しておくと、
どのような場面で怒りやすいタイプなのかが分かり、
イラッとするシーンが予測できるようになる。
□把握のための手段として、
「アンガーログ」(怒りの日記をつける。自分の感情を文字化し、客観化する)
「べきログ」(自分がよく思う「~であるべき」を書き出して把握する)
といった方法がある。
□こういった手段を通して、目の前で起きたことが
たまたま自分の「べき論」と違うだけで短絡的な怒りを示すことが、単なるワガママに過ぎないと思い、
そのような怒りを恥ずかしく感じるようになるのではないか。
※3か月連載の最終回だが、前2回もけっこう参考になるところが多かった。
個人的には、こういった「アンガーマネジメント」をしなければならない、と思うだけでも
職場の風土は改善されるのではないか、と感じた。
感情が生じるのは仕方がない、或いは当然。
それを前提として、悪影響が生じないように「マネジメントする」思考が
大事なのだと思う。
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3.「多様な正社員」と雇用管理
(学習院大学 今野浩一郎教授)
□伝統的な雇用管理の特徴は、
・「無制約的な働き方」を前提にした「正社員型」のキャリアトラック
・「制約的な働き方」を前提にした「非正社員型」のキャリアトラック
のどちらかを選択するように社員に求める特徴がある。
□今後は、制約的な働き方をとらざるを得ない働き手でも
能力を十分に発揮してキャリアを伸ばすことができるよう、
従来の正社員と非正社員の中間に位置する「多様な正社員」が必要になる。
□ポイントは「働き方の選択」と「キャリアトラックの選択」を切り離す雇用管理を実現すること。
制約的な働き方をとったとしても、能力と意欲と希望がある限り
総合職的なキャリアトラックをとることができるような雇用管理に変革していく、というのが
ベースになる考え方。
□こうした雇用管理が必要な背景は、正社員の求める働き方が確実に制約化しつつあること。
育児との両立、親の介護、自身の病気など。
□現実に人事管理を進めていく上で困難なのは、
「働き方の違い」に代わってどのような基準で社員を複数のキャリアトラックに振り分けるか、ということ。
経営者や上級管理者を目指す社員も一定数は必要だが、
特定分野のプロとして働く社員、定型的な仕事を確実に遂行する社員も必要。
□理念としては
「それぞれのキャリアトラックが求める人材像を明確にし、それに沿って能力を見て振り分ける」だが、
具体的な制度としてどのように作り上げていくかを考慮する必要がある。
最初から同じキャリアトラックの社員として扱うか否か、
振り分けも試験によるのか、など。
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4.成長戦略にみる外国人材の活用と今後の外国人労務管理のポイント
(東京会 持田玲香社労士)
□日本国内の外国人労働者は70万人を超え、過去最高。
在留資格別で見ると「技能実習」が全体の19%。
□2020年度までに限り、
建設分野の技能実習修了者について「特定活動」の在留資格に変更することにより、
最長3年の技能実習制度からさらに2年間の在留が可能になる。
この制度での受け入れの人数枠が技能実習制度よりも緩和されるため、
外国人材活用の増大が予測される。
□技能実習制度の本来の目的は「海外への技術移転」。
それが「雇用拡大の即戦力」としてこの制度を活用する方向に政府方針が変化している。
□建設業における深刻な構造的問題。
・作業員数は平成9年のピーク時から25%減少している。
・55歳以上の就業者数が全体の3割超。
29歳以下の就業者数は1割を切っている。
□外国人労働者を「安価な労働力」ではなく「必要不可欠な人材」として受け入れる意識が必要。
外国人活用を円滑に導入している法人の共通点として「3C」がある。
・Compliance(法令遵守)
・Cross Cultural Understanding(異文化理解)
・Communicative Environment(コミュニケーション環境)
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