Be-1のドアミラー。ベースに長さの違うボルトを取付けてあるので机上で自立します。前後可倒式でコストダウンと軽量化のため電動ミラーではありません。
CADが導入される前の製品なので、すべて手描きの難易度の高い図面でした。左右の形状は似ていますが、取り付け角度が異なるため勝手違いではなく全て別図面。
下にあるのは1983年に日本で初めて認可された電動ドアミラー。当時最もフロントウインドウが傾斜していて、設計条件が厳しかったS12シルビアに合わせ、フルドア(パネルドア)構造と、サッシュドア構造の各車に対応するミラーベースが作られ、パルサーEXAを皮切りに日産車すべてに展開されました。この難しい条件のドアミラーを経験した直後だったので、Be-1のドアミラーがデザインできたと言っても過言ではありません。
これまで拙ブログには登場することのなかったエスカルゴやラシーンのモデルが登場したついでに当時のカタログを並べてみました。ラシーンのカタログは後期型。前期型のドラえもんの起用は広告代理店の提案のようで、開発者の意図との大きなズレを感じます。
日産のパイクカーの本流はあくまでもBe-1、PAO、FIGAROで、この3台の影響をうけて誕生したのがエスカルゴとラシーン。一応パイクカーのジャンルに入っていますが、開発コンセプトと販促戦略がずれていて一貫性や新規性があまり感じられません。昨今の各社の軽ハイトワゴンのように、コンセプトが希薄なため、どれも単なる面白グルマとして宣伝されているのによく似ています。
Be-1とPAOは中長期の生産計画に入っていなかったので、カタログ制作の予算はゼロ。予算がないのを知恵でカバーしたため、逆に思い切ったカタログができました。FIGAROはパイクカーの事業が軌道に乗ることが分かったため通常のカタログ制作ができています。エスカルゴとラシーンも製造方法や販売戦略が限りなく量産車に近いため、カタログも通常サイズ。
S-Cargoは、Be-1、PAO、FIGAROとはコンセプトが異なるので収集の対象外でしたが、2002年発売のチョロQくじ・エスカルゴを激安の210円で落札。一台だけコレクションに加えてみます。
1989年にパオと同時発売されたエスカルゴ。2台を同時デビューさせるため「パイクファクトリー」という概念が生まれました。よく勘違いされますが、本当に工場があったわけではありません。販売戦略であり、アンテナショップです。一緒に写っているのはパイクファクトリーの木軸マッチと、ブックマッチ(2022年6月に日東社が製造中止したためブックマッチ自体が絶滅)。
エスカルゴは日産ブランドの商用車を設計製造する日産車体が開発した車両。Be-1、PAOと外観で共通しているのはフェンダーの丸型ターンシグナルランプ。昨日、40年の歴史の幕を閉じたマーチ。K10マーチ後期型やK11マーチ前期型にも用いられました。このランプはBe-1で開発した部品の中で最も数多く使われた部品です。