宮本輝 著 「道頓堀川」を紹介します。
大阪ミナミの歓楽街、道頓堀界隈は、眩ゆく華やかなネオンサインに包まれた眺めとはうらはらに、人間の哀しさを奥深く隠し秘めた街である。
この一角で喫茶店を営む武内は昔「ヒネリの鉄」の異名をとった無頼の玉突き師だった。
彼の半生は、激しく奔放に生きた過去を今なおひきずり、嫉妬と未練と憤怒に塗り込められていた。
その店の二階に住みこんだアルバイトの学生・邦彦とは不思議に心が通いあうが、彼もまた、両親を亡くした孤独な青年だった。
ネオン彩る都会の一隅にくりひろげる父と子の愛憎劇を軸に、さまざまな過去を背負った人間像を描いた感動作です。
宮本輝の「蛍川」「泥の川」で川三部作と言われる作品。
幼年期→少年期→青年期と成長過程の心の動きがよく分かる、少しせつない話は、心の栄養分になる気がします。
映画製作: 1982年
出演: 松坂慶子/ 真田広之/ 佐藤浩市 / 柄本明/ 渡瀬恒彦/ 加賀まりこ/ 山崎努