由良秀之 著 「司法記者」を読みました。
「騙されるな。気合を入れて叩き割れ!」
「…そんな供述のどこが真実なんだ」
美貌の女性記者はなぜ殺されたのか?
口を閉ざし続ける容疑者の守り通す秘密とは…。
特捜検事が、巨大組織の壁の中で、孤独な闘いに挑む。
元特捜検事が書いただけあって検察内部について詳しく描かれています。
特捜部のあらかじめ描いたストーリーに合わせて証拠をとっていく捜査手法や司法記者クラブとのなれ合い等々・・・。
少し前にあった検察の色々な不祥事もこれを読むと”然もありなん”といった感じですね~!
日本の法曹について学びながら、サスペンスも楽しめる一石二鳥?の小説でした。
この小説の満足度:☆☆☆☆
「ジャージー・ボーイズ」
現在公開中
出演:ジョン・ロイド・ヤング、エリック・バーゲン、マイケル・ロメンダ、ビンセント・ピアッツァ、クリストファー・ウォーケン
アメリカ東部ニュージャージー州の貧しい町に生まれた4人の若者たち。
金もコネもない者が町から逃げ出すには、軍隊に入るかギャングになるしかなかったが、彼らには類まれな美声と曲作りの才能があった。
4人は息の合った完璧なハーモニーを武器に、スターダムを駆けあがっていくが・・・。
クリント・イーストウッド監督の最新作と聞いて・・・これは観に行かねば!!
という事で、劇場公開、早々に観てきました。
1960年代に世界的な人気を誇った伝説の米ポップスグループ「ザ・フォー・シーズンズ」と、その代表曲として知られる「君の瞳に恋してる」の誕生秘話を描いた作品です。
2006年トニー賞でミュージカル作品賞を含む4部門を受賞した人気ブロードウェイミュージカルを映画化したものとの事ですがミュージカル映画ではありません。
しかし、随所に当時の歌が織り込まれており、それを聞いているだけでノリノリに!
いい歌は世代を超えていますね~!!
メンバーを演じる俳優はミュージカルでも演じた舞台俳優さんたちで歌は吹き替えなしとの事ですが、これが全員いい声してるわ~!!
ストーリーはグループを長く続けていく事の難しさが痛々しいほど感じられて・・・
イーストウッド監督、80歳を過ぎてもいい映画を撮りますね~!
映画館を出てもメロディーが頭の中から離れません!
シェ~リ~♪♪
この映画の満足度:★★★★
川あかり」を読みました。
川止めで、木賃宿に逗留し、足止めを食っている若き侍、伊藤七十郎。
藩で一番の臆病者と言われる男が、斬れと命じられた相手は、派閥争いの渦中にある家老。
家老が江戸から国に入る前を討つ。
すでに対岸まで来ているはずだ。
川明けを待つ間、思いもかけぬ市井の人々との触れ合い、さらには降って湧いたような災難が続き、気弱な七十郎の心は千々に乱れるが―
ひとびとのためにやると決意したのだ、と自分を叱咤した。
たとえ、歯が立たない相手であっても、どんなにみっともない結果になろうとも、全力を尽くすのみだ。
七十郎は叫びながら刀を抜いた。
「それがしは刺客でござる」。
直木賞受賞作の「蜩ノ記」を読んで作者のファンになりました。
以来、二冊目に読んだ「銀漢の賦」も、三冊目の「橘花抄」も良かった!
そして、四冊目が今回の作品です。
これまでの作品とは違って軽いタッチの娯楽時代小説といった内容でした。
藩で一番の臆病者、伊東七十郎が派閥争いに巻き込まれて家老の暗殺を命ぜられる。
その旅の途中、長雨で川を渡れず足止めにあい、木賃宿で待つことになった。
そこには一筋縄では行かない雑多な男女が同宿していた。
何時しか、彼らとの間に心温まる絆が結ばれて・・・
ついに、暗殺決行の日が訪れる。
登場人物が個性たっぷりで生き生きとしています。
まるで映画かドラマを観ているような感じで読めました。
そして、読み終わった後に優しくてほのぼのとする小説でした。
今野敏 著 「特殊防諜班 連続誘拐」を読みました。
宗教団体教祖の奇妙な誘拐事件が相次いで発生した。
教祖たちは無事解放され、一様に何も覚えていない。
だが、雷光教団・東田夢妙斎の事件は違った。
真相を追う「首相の代理人」真田は、陰にある巨大な陰謀と遥か古代から受け継がれた血の伝承を探しあてる・・・。
作者の初期の作品で、特殊防諜班シリーズ1作目です。
古代のユダヤと日本の関係など伝奇とアクションが巧みに融合されたストーリーです。
武道家でもある著者が描く戦闘シーンはリアルで迫力があります。
1986年の作品ですが古さを感じさせないエンターテイメント作品でした。
この小説の満足度:☆☆☆☆
「ディアトロフ・インシデント」
出演:ホリー・ゴス, マット・ストーキー, ルーク・オルブライト, ライアン・ホーリー, ジェンマ・アトキンソン
1959年ソビエト時代、スキーでウラル山脈を越えようとした9人の登山グループが遭難。
その後捜索隊に発見された遺体の5体は極寒の中ほぼ裸体で、そのうち数名は激しく外的損傷を受けていた。
残り4遺体は数ヵ月後にキャンプ地から離れた崖下の雪中から発見、中には舌が失われていたものまであった。
さらに犠牲者の着衣から高濃度の放射能が検出、事故現場から半径数キロ圏内では数ヶ月間に謎のオレンジ色の光源の目撃談が相次ぐなど不可解な謎が多く、
当時の政府からは調査結果が公表されないままソ連時代の崩壊を迎え、「ディアトロフ峠事件」は人々の記憶から風化されつつあった。
今、その謎を解明すべくアメリカの5人の学生が動き出す。
そして彼らは、決して踏み込んではならなかった「世界で最も近づいてはならない」ディアトロフ峠の現場へと辿り着く…。
『クリフハンガー』『ダイ・ハード2』など雪山を舞台にしたアクション映画を得意とするレ二ー・ハーリン監督の最新作です。
半世紀前、ソ連領地の雪山で9人が怪死した実話を元に制作されました。
5人の学生が事件の真相に迫るドキュメンタリー映画を撮影するという設定で話は進みます。
ほぼ全編にわたってビデオカメラ視点で撮られており画面が常に揺れているのでずっと観ているとちょっと疲れる・・・。
ストーリーは学生たちがノリで雪山へ登るまではダレ気味ですが、その中の1人が謎の扉を発見した処から話は急展開!!
扉を見つけるくだりには、思わず・・・
「LOST」かよ・・・。
最後にオチはあるものの、結局、B級のSFホラー映画でしかなかった。
この映画の満足度:☆☆☆
富樫倫太郎 著 「信玄の軍配者」を読みました。
日本最古の大学・足利学校で学問を修めた勘助は、その後、駿河国で囚われの身となったまま齢四十を超え、無為の時を過ごしていた。
預かる軍配もなく、仕えるべき主君にも巡り合えず、焦燥だけがつのる日々…
そんな折、武田信虎による実子・晴信(のちの信玄)暗殺計画に加担させられることになる。
命を賭けた一世一代の大芝居、学友たちとの再会を経て、「あの男」がいよいよ歴史の表舞台へ―。
ともに足利学校で学んだ三人。
風間小太郎(北条早雲の軍師)、山本勘助(武田信玄の軍師)、曽我冬之助(上杉謙信の軍師)
それぞれが如何にして軍配者となったのか・・・。
軍配者シリーズ三部作の第二弾は山本勘助です。
前作「早雲の軍配者」の主人公の風間小太郎が早くして軍配者としての地位を確立したのに比べて、山本勘助こと四郎左は幾多の不運に見舞われて40歳を過ぎても浪人生活を余儀なくされていた。
しかし、武田信虎と知り合った事から軍配者としての道が開けてゆく・・・。
その過程が面白い!
幾つになっても学友として、また生涯の良きライバルとして接する小太郎や冬之助との友情も心に沁みます。
晴れて軍配者として晴信(信玄)と二人三脚で甲斐制圧に乗り出す合戦の場面では、それまでの苦労が無駄ではなかった事を証明するかのような大活躍に思わず喝采!
最後のエピソードにもホロリさせられて・・・。
いや~、第二弾も面白かった!!
この小説の満足度:☆☆☆☆
「ノア 約束の舟」
出演: ラッセル・クロウ, ジェニファー・コネリー, エマ・ワトソン, アンソニー・ホプキンス
ある夜、ノアは眠りの中で、恐るべき光景を見る。
それは、堕落した人間を滅ぼすために、すべてを地上から消し去り、新たな世界を創るという神の宣告だった。
大洪水が来ると知ったノアは、妻ナーマと3人の息子、そして養女イラと共に、罪のない動物たちを守る箱舟を造り始める。
やがてノアの父を殺した宿敵トバル・カインがノアの計画を知り、舟を奪おうとする。
壮絶な戦いのなか、遂に大洪水が始まる……。
ラッセル・クロウ主演の超大作!
ロケもセットも大掛かりで、VFXも見応えがあります。
他の役者さんたちも熱演しています。
が・・・
肝心のストーリーがイマイチでした・・・。
もっと壮大なストーリーを期待していたのに完全に期待倒れです!
この映画の満足度:☆☆☆
「それでも、警官は微笑う」を読みました。
無口で無骨な巡査部長・武本と、話し出すと止まらない、年下の上司・潮崎警部補。
二人は、特殊な密造拳銃の出所の捜査にあたる。
たどり着いたのは5年前のある事件だった。
覚醒剤乱用防止推進員の拳銃自殺。
その背後に潜む巨悪とは?
中国人絡みの銃弾密輸事件を追う2人と刑事
そこに麻薬取締官がからんできて・・・
登場人物のキャラクターがいすれも魅力的です。
無骨者の武本、奔放な潮崎、そして、一途な宮田
なかなかハードな内容ですが、この三人の織り成す展開が絶妙で長編ですが軽いタッチで読み終えました。
第25回メフィスト賞受賞作
この小説の満足度:☆☆☆☆
「鍵泥棒のメソッド」
公開:2012年
出演:堺雅人, 香川照之, 広末涼子, 荒川良々
35歳にして定職もなく、売れない役者稼業にもほとほと嫌気がさした桜井は自殺にまで失敗してしまう。
その後、出掛けた銭湯で見るからに勝ち組男のコンドウが彼の目の前でひっくり返り、頭を強打したせいで記憶を失ってしまった。
桜井は衝動的に彼の荷物をくすねてコンドウに成り済ましたのだが、実はコンドウの職業は殺し屋で……。
一流の殺し屋と三流の役者が入れ替わるという設定がまず面白い!
堺雅人と香川照之の競演と云えばご存じ「半沢直樹」ですが、本作でもこの二人が絶妙の演技を見せてくれます。
さらに、二人に絡む雑誌の女編集長・香苗役の広末涼子が意外にも?惚けたいい味を出しています。
笑いあり、少しの涙ありのサスペンスコメディ。
ラストの胸キューンには大笑いでした!!
第36回日本アカデミー賞 最優秀脚本賞・優秀主演男優賞・優秀助演男優賞・優秀助演女優賞
この映画の満足度:☆☆☆☆
春を背負って」を読みました。
長嶺亨は脱サラをして父親の山小屋を継いだ。
父をなくしたOL、84歳のクライマー、7歳の女の子、ホームレスのゴロさん…
美しい自然に囲まれたこの山小屋には、悩める人を再生する不思議な力があった。
木村大作監督で映画化された原作本です。
笹本稜平作品は良く読んでいますが、これまでに読んだ作品は壮大なスケールの冒険小説や警察小説でした。
本作はそれらとはまったく趣が違ったハートウォーミングな山岳小説です。
とある山小屋を舞台にした6篇からなる連作短編集。
いずれのエピソードもほのぼのとしていて、爽やかな気持ちになります。
この小説の満足度:☆☆☆☆